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連れ去られた猫の子孫たちは
もともとの故郷へ戻ることが出来た。
嬉しくて 初めて見る故郷に心躍った。
けれどすぐに気づいた。
「ここは空気が綺麗すぎる。」
何百年もの間 人間界で生き抜いてきた猫の子孫であった。
身体能力も 知力も
他の人間界の猫よりは高かった。
けれど人間の侵食は凄まじく 住処はどんどん奪われていった。
他の猫と違う振る舞いをすれば
すぐに抹殺される。
人間の本能なのだろうか
意味もなく襲われることも多かった。
そうして暮らすうちに
何度も毒を食べさせられ
除草剤のついた食物を食べて生きて来た。
普通なら死ぬのだろうが
生命力も強く 死にはしなかった代わりに
毒が次第に体内に蓄積し
ウィルス・細菌も体内に溜め込んでいったのだった。
死ななかったから 生き延びるために
多少の無理もした。
結果それが 多量の毒を溜め続け
毒の塊の体と なってしまったのだ。
こんにちは。チャンプです。
ポチっとしてもらうと 励みになります。
故郷へ戻った猫達は
誰もが 安全な暮らしが待っていると思っていた。
けれど 地に降り立った途端
すぐに そのことに気が付いた。
長い間人間界で過ごしていたとはいっても
やはり進化した知力の高い猫の子孫だった。
悲しみに苛まれ 身を切られるよなうな思いをしながら
誰にも見つからない場所へと
移動したのである。
「だから私に近づかない様にしていたのね。
毒やウィルスに感染させない様に。
長い間 蓄積されたウィルスは変異を続け
最強のウィルスや細菌になっていることだろうから
いくら生命力の強い私たちといっても 初めて感染すれば
死なせてしまうから。」
さおりはルー一族のことを思うと
涙が止まらなかった。
そういう時に ルー一族から
連絡が入ったのだ。
ルー一族にとって 今やさおりは
唯一安心して連絡のとれる相手だった。
居住空間を守るシールド発生装置が
ハロウィンホテルに集められているというのだ。
おそらく装置の本当の働きを知らない猫達が
集めてしまったのだ。
一度に多量の装置が移動してしまえば
至る所の空間に穴が開き
空間のひずみがよれて
世界が消えてしまう。
一刻を争う事態だった。
皆にルー一族の本当の姿を説明する間はなかった。
さおりはすぐに琥珀と 
親戚のあん、りんに連絡をとった。
子供をさらわれた あん、その子たちの子孫を
転送する手助けをした りんの子孫だった。
共に里山町に住んでいたので
探す手間もそうかからなかった。
ハロウィンホテルの防衛システムは
人間界のそれとは比べものにならないほど厳重なものだったが
度重なる生命の危機に
ルー一族の身体能力は圧倒的になっていた。
常に危険と隣り合って暮らしていたから
すぐに瞬間移動システムも
自分の意志で自由に使いこなせるようになった。
そして彼らは 一代限りの命と決めていた。
何とか 体の毒を浄化しようと試みたが
ついにかなわず 滅ぶ道を選んだのだ。
それゆえ命をもいとわず 絵を盗み出せたのであった。
自分たちの手で元の場所に戻すのは
危険が大き過ぎた。
もしウィルスや毒が広がることになったら。
それゆえ さおりと連絡を取り
元の場所へ戻して貰うことにしたのだ。
あんは琥珀に絵を数枚手渡し
次の空間へと飛んで行った。
さおりとりんもそれぞれに絵を配置してまわった。
絵の自動情報収集機能により
菌やウィルス そして侵入生物などの調査が行われ
数匹侵入していた人間界のオオカミと鈴虫といたちを
元の世界へ返すことにも成功した。
あん、りん、さおりは何と言っても技術者の家系である。
猫の技術部門の担当者に
連絡を取るのも わけなかった。
暫くして 個体識別個別対応シールドが開発された。
ルー一族は 他の猫と混じって
ついに 共に生活できるようになったのだった。
そして空間を切る能力を抑えるアラームと
制御装置も つけて貰えたのだ。
おわり
長い間お付き合い下さり ありがとうございました。
（動画をぽちっとクリックして 音楽を聴きながら絵を眺めて貰えたら）
出演ありがとうございました。
posted by (C)パパメイアン
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