ガールズバンドは続けていた。
しかし、スタジオライブでパンクスの参加を渋った人が徐々に休むようになった。
疲れる職場で、掛け持ちで他のバンドもやっている。
大変なんだろうな。
全員が揃ったある日、
「今度こそライブハウスでライブしよう!」
メンバーが提案してきた。
そうだね、目標があれば休みがちの人も頑張れるかも。
パンクスに報告したら
「良いじゃん!見に行くよ!なんなら知り合いのライブハウスでブッキングしてくれるよう言うよ!」
知り合いのライブハウスはバンドマン達の聖地。
そこでライブするのは荷が重すぎると思いつつ、メンバーに提案すると
「恐れ多い!それは勘弁して!」
やっぱりね。
その次から、休みがちだった人はパッタリ来なくなった。
あのね、ここは日本なの。
働かないと生きていけないの。
私はこの仕事にやりがいを感じてるし、すごく楽しい。
今まで無職で四六時中一緒にいたのが稀なんだよ。
だから、私の邪魔をしないで!

今まで怒った事のなかった私が怒った為、残業の事については文句を言わなくなった。
ただ、権力に対する反発は更に強くなった。
同じ頃、パンクス仲間が逮捕された。詐欺らしい。
犯罪には変わりない。不運になった人がいるから。
それでも、警察は権力の象徴として、完全に悪だった。
私は完全にめんどくさくなった。
印刷会社というところは、残業は当たり前。
仕事内容も専門的で、今までの知識が覆された。
しかし以前の会社で徹夜当たり前だった頃に比べたら全然楽。
知識は乏しかったが、ひとつひとつ覚える時間を貰える。
先輩や上司も優しく、楽しく過ごせる会社だった。
医療系では恵まれなかった分、ここで恵まれたんだな。
仕事が楽しくなり、残業も頑張れた。

そこで面白くないのがパンクスだった。
今まで四六時中一緒にいて、ご飯も作ってお世話してくれた人が仕事で21時や22時に帰ってくる。
「ヨーロッパへ行くなと引く止めたのに、何故1人にさせる!」
「仕事なんてお金が無くなった時に必要な分だけ稼げばいいんだ!」
「そんなに残業させる会社なんて辞めちまえ!」
「ヨーロッパだと無職でもみんなで共同生活をしてなんとかなってた!」
「だから日本は嫌なんだ!」
私への怒りがワールドワイドになってきた。