妹から連絡をもらって、

「ああ、ついに来たか」と思いました。

 

春に余命数ヶ月って言われてたのだもの。

 

いくら痛みもなく、それなりの日常生活を送れているといっても

体の中では進んでいたのだと思います。

 

 

 

そうだ、その前に書く事があるビックリマーク

 

この一ヶ月くらい前に

実は父が電動車椅子の存在を知ったんです。

 

母と妹に、そのときばかりはものすごく強い調子でワガママを言ったらしいんですよね。

 

電動車椅子を借りて、一人ででかけたいって。

 

母も妹も、なにかあってはいけないから

出来れば、賛成したくなかったみたいです。

 

 

でも、父の意思は強くて固くて、断固としていたようでした。

 

わたしは二人から相談を受けたんですけど

離れている無責任さもあるんでしょうけど

好きなことをさせてあげてほしいなって思いました。

 

それに父はめちゃくちゃ慎重な性格をしているので

一人で出かけても、むちゃはしないって信頼もあったんですよね。

 

 

その信頼通りに、電動車椅子にバイク屋さんでミラーを取り付けてもらい(笑)

後ろからくる自転車を確認しながら、ひとりで出かけ始めました。

 

週に2,3回、大好きだった釣りにです。

 

普通に歩けば15分くらいで着く場所に、一時間近くかけて通っていたらしいです。

 

歩いているときにはわからない、細かな段差、回り道しないと進めない道

いろいろあったみたいです。

 

 

出かけれるようになった当初は

電話で話しても、見違えるくらい元気な声になっていました。

 

すごくすごくうれしかったです。

 

 

 

だけど、やっぱり楽しく出かけられていたのはほんと最初だけで

体力がやっぱりなくなってきていたので

出かけるのも、苦行のようだったのかもしれません。

 

でも父は、ひとりで出かけられる自分というのを保ちたくって

釣りに通い続けていたような気がしています。

 

 

 

11月の終わりに妹から痩せ始めたと聞いて、すぐに会いに行きました。

 

一緒に少し出かけたり、病院にも一緒に行ったのですが

たしかに電動車椅子ででかけることはしていたのですが

その過程でものすごく、本当にものすごく苦しそうでした。

 

ベッドから身体を起こして、着替えるのにも数十分かかり

休憩して

えいっと立ち上がり

車椅子にお尻を乗せる角度まで身体を動かし

やっとお尻をおろす。

 

そこで、また休憩。

 

いや、これは苦行だ、と見ていて感じました。

 

決して釣りに楽しみで行っていたわけではないなぁと。

 

父としては入院したくなくって

入院したら、もう終わりだと思っていて

 

それなら釣りに行き続けることで

きわきわまで家で過ごせれる。

 

と。

 

たぶん、思っていたのだと思います。

 

歯を食いしばって、車椅子に移動している父を見ながら、「生き様」みたいなものを感じていました。

 

そして、タバコも吸いたいって言い出したんですよね。

 

父は若い頃からヘビースモーカーだったのですが

8年ほど前に軽い脳梗塞をして、そのときにぴたりとやめていました。

 

タバコも吸うんだって。

 

美味しいと言って、吸っていました^^

 

ぜんぶ、やるんだなって思いました。

 

 

もう、やりたいこと、ぜんぶやるんだって。