18才の夏、
東京で学生生活をしながらも初めての夏休みを迎えて、楽しみにしていた帰省。
前日に、大雨が続いてるから帰省はずらしなさいと、父から連絡があったが私は予定通りに帰った。
翌朝起きたら床下浸水。
そしてその日から山陰豪雨水害という災害に見回れた。
たくさんの近所の人が亡くなり、今、裏山に慰霊碑が建てられている。
父も生き埋めとなったが助け出されてしばらく入院していた。
私は弟と二人で避難所生活をした。
やっと線路が復活し、東京に帰る日がきた。
益田駅まで両親が送ってくれた。
近所のおばちゃんたちも買い物に出てきたのだろう、一緒に送ってくれた。
特急に乗る時、父が駅弁を買って渡してくれる。
いつになくギュッと私の手をにぎりながら…
私の手には、駅弁の袋と小さく折り畳まれた一万円札…。
その時の駅弁
私に選ばせもせず、父の大好物やん。
父はお寿司が大好きで、たまの外食も必ずお寿司。
有無を言わせずお寿司屋さんに入る。
駅弁も必ずこのお寿司。
近所のスーパーで今日は駅弁を売ってた。
昔のままのパッケージであったこの駅弁。
懐かしくて手に取った。
中も、味もあの時と同じ。
泣きながら特急おきの中で食べたなあ…
なんでこの駅弁なの?他に食べたいもんがあったのに、なんでこれなの?
泣いた理由は駅弁のせいじゃないけど、親から遠ざかる寂しい涙が、早く止まるように、祈りながら食べた。周りの人の視線を忘れようとあまり噛まずにどんどん食べた。
父が押し付けた父の好きな駅弁。
いいもんだね、押し付けられることも。
この先は、新しいことより、思い出して笑ったり、思い出して泣いたりすることの方が多いのかもしれない。
子供たちにも
いい思い出を残してあげたい。
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