山茶花と椿其の⑨《桃色卜半》《白鷳》《老松》《鈴鹿山》
其の九ですが、そろそろ別の椿園にも行かねば…
桃色卜半
唐子咲きと呼ばれる卜伴(ぼくはん)では、非常に珍しい濃い桃色の花です。江戸期より広く知られた古典品種中の名花。中心部の「唐子弁」は白色ですが、環境により 唐子部の白色の葯に紅色の小絞りが混じる事があります。濃桃(紅)色の一重小輪。
雄蕊の先が変形して花弁化し、よじれて盛り上がった唐子咲きで、唐子の部分は白色。
『広益地錦抄(*1719年・伊藤伊兵衛)』に掲載された古典的な園芸品種です。
しおらしく眺めすぐれたり・・・生花に至極よし、卜伴という茶人植えなし秘蔵たるよし、上々花
別名も有名です。
唐子の部分も赤い紅唐子「日光(じっこう)」に対し「月光(がっこう)」とよばれています。
白鷳
難しい漢字です。「鷳」という字の訓は「しらきじ」または「とび」
「ハッカン」というのは中国南部原産のキジ科の鳥で、顔が赤く背と尾羽が白い(雄の場合)。
奈良・東大寺の開山堂に原木がある《ノリコボシ(糊こぼし)》と同じものとされるのですが、花に白斑が多いものが、関東で‘ハッカンと呼ばれます。
《レイガンジマイヅル(霊鑑寺舞鶴)》も《ノリコボシ》と同じもの。
一重の平開咲きで大輪です。ユキバタツバキ系。
鈴鹿山
紀州司
濃桃地白斑入りの千重咲き。大輪
古くは外国へ持ち出され「キャプテン・ジョーン・サッター」とも呼ばれる華やかな椿。
何枚もの花びらが重なる豪華な品種です。
ピンク色に白の模様が入りますが、花によって白の模様の場所や割合が違うのも魅力の一つです。
老松
江戸時代からある古い品種で、朱色~明るい赤色の絞り多弁タイプの椿です。
絞りは白色が不規則に花弁に入ります。
朱紅色地に白斑入りで八重。
蓮華性のやや細弁、筒しべで中輪。
1859年の「椿伊呂波名寄色附」に記載される古い品種です。白花は「松ヶ枝マツガエ」と呼ばれます。
蓮見白
白色の千重~列弁咲き。ヤブツバキ系の中~大輪です。