春の花木 其の3【チドリノキ】[キリ】【メギ】
チドリノキ
名前は、翼のある実を、千鳥に見立てたものです。
別名はヤマシバカエデ
山地の谷間に多く生え、高さが15mくらいもになります。暗い林内でも芽生え育ちます。整然と平行に並んだ側脈(葉脈)と鋭い鋸状のふちが特徴で、カエデ属の仲間には見えないですが、《ヤクシマオナガカエデ》とか《クスノハカエデ》もモミジの形をしていないです。こんなのもある👉ネグンドカエデ
今回はまだ花が咲いていなかったのです。
樹皮は皮目が目立ち、黒赤色でなめらか。内側の鱗片が芽吹きとともに伸び、6cmほどになる。
赤い色が鮮やかで目立ちますねつ。展葉が終わると鱗片は落ちます。
4~5月に、展葉と同時に新枝の先に総状花序を出し、淡緑色の小さな花を付けます。
他のカエデ属の花と比べると、花序の割に、花が少なく小さいため、疎な印象。
カエデ科なので葉は対生。葉身は卵状長楕円形で、前述したように、多数の側脈があり《サワシバ》によく似ています。先端は尾状に尖り、縁には鋭い重鋸歯。サワシバと比べると、厚みがあります。
秋には、鮮やかな黄色になるので目立ちますね。
◇科名:カエデ科 ◇属名:カエデ属(Acer=裂けると言う意味のラテン語が由来。切れ込んだ葉の形から)◇学名:Acer carpiniforium(carpiniforium=*carpinifolius =シデ属(Carpinus)のような葉の)
メギ目木
生垣に利用されているのを見かけますね。日本固有種なのです。
本州の関東地方から九州にかけて分布。山地や丘陵の草地や林の中などに生える落葉低木。
樹高は1メートルから2メートルくらいです。
開花時期は4月から5月で、短枝から新しい葉とともに短い花序が出て、黄色い花を数個下向きにつけます。
同じメギ科の《柊南天》に似ていてますね。
柊木南天を少し小さくしたような感じで、花径は5、6ミリくらい。花弁と萼片は6枚ずつ。
雄蕊も6本。
萼片のほうが花弁よりも大きいので、萼のほうが花びらのように見えますね^ - ^
◇科名:メギ科 ◇属名:メギ属(Berberis=この属の1種の実につけられたアラビア名「berberys」から) ◇学名:Berberis thunbergii(thunbergii=スウェーデンの植物学者で日本の植物を研究した「ツンベルク」の)
よく枝分かれをし、針状の細い刺が枝や葉のつけ根に生えるので、別名が「コトリトマラズ」「コトリスワラズ」
葉はへら形で互生ですが、短枝では束になって生える束生になります。枝などを乾燥させたものを生薬で小蘗-しょうはくといって、結膜炎などの目の病気に効きます。
これが名の由来でもあるのです。小蘗は健胃、整腸、下痢止めなどの薬効もあります。
10月ころには楕円形をした液果が赤く熟します。紅葉もきれいですね。
同じような薬効があるのが、春の花木 其の1👈
で紹介したメグスリノキ
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同じメギ科で、似たような《ヘビノボラズ》と言う花もありますね。
ヘビノボラズ🐍は湿地に生え、限られた場所でしか見られないですが…。枝というより葉の付け根に長く鋭いトゲが2~4個ずつ生え、蛇も登れそうもないことに由来する名前。
葉は輪生し、長さ3~9㎝、幅1~2㎝の倒卵形~倒披針形です。葉縁はやや裏側に曲がり、縁に細かい刺状の鋸歯があって、葉裏は白緑色、若葉には褐色の斑紋があります。花は長い花柄の先に垂れ下がるように総状につきます。
以前1974年(昭和49年)まではパスポートにもこの桐の紋が使われていましたね。
キリ桐
桐の花ってスッゴイいい香りがするんですよね。
花が落ちてきた時じゃないと匂いは嗅ぐことが出来ませんけどね。
中国では聖王を表す『鳳凰』は桐の木にだけ棲み竹の実だけを食べるという伝説があります。その為、桐は『典雅瑞祥(てんがずいしょう)』の霊鳥の宿り木とされました。もっとも鳳凰が棲む木は本当は桐ではなく『青桐』らしいのですが…。
朝鮮、中国から渡来してきました。切ればすぐに芽を出して生長すると言う意で、動詞の「きる」がそのままきりと言う名になったものです。
若い木の木膚は滑らかですが老木になると縦にひび割れ灰褐色になります。
ご存じの通り桐の木は非常に軽くて湿気を吸わない材質なので桐箪笥や下駄、琴の胴の部分、桐箱や人形の型、更に金庫の内張りなどにも幅広く利用されたりします。
日本では平安時代の頃から大いにその品位を高め、天皇をはじめ上流社会の人々の間で紋章や装飾として用いられていました。以前にパスポートに使われていたのはこの為。
◇科名:凌霄花(のうぜんかずら)科、または胡麻葉草(ごまのはぐさ)科 ◇属名:キリ属(Paulownia=ポウロウニア。あのSiebold(シーボルト)が後援を受けたオランダの女王『Anna Paulowna(1795~1865)の名を記念したもの ◇学名:Paulownia tomentosa(tomentosa=密に細綿毛のある)
シナアブラギリ👈も香りが良いです。
《イイギリ飯桐》や《ハリギリ針桐》は全く別の種ですよ。飯桐👈
ハリギリ👈