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「新しい地球を生きるための物語」です。
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「新しい地球を生きるための物語」
～そして、私はゆっくりと顔を上げた～
私は、そのまま銭湯までの道を歩いて
いった。
重なっていくのは、その平城京のような、
朱に染まった木でできた日本のお城を
歩いている姿だった。
それも、これも私なのだろうか。
私は、その両方の感覚を同時に感じるという
あまりにも不思議な体験をしていた。
もう、仕方がないので、そのまま無になって
歩くことにした。
それから、何歩歩いた頃だろうか。
私は、目を閉じて歩いていたわけでは
ないが。
感覚的に、着いた、ということが
わかった。
だから、歩みを止めることにしたのだ。
それは、銭湯に着いたのだとも言えるし、
赤いお城のどこかに着いたとも言える。
私は、そして、90度向きを変えて、
その対象物と対峙するような格好になっていた。
意を決するまでもなく。
そして、私は、ゆっくりと顔を上げた。
そこで、私の眼に映ったのは、紛れもなく
通い慣れた銭湯だった。
そして、それと同時に、私の眼に映るのは、
朱に染まった木が印象的なお城の一部だった。
私は、そのお城の一部が気になった。
小さな戸があるように思えたからだ、
私の焦点は、その小さな戸に集まって
いた。
人ひとりが通れそうな、小さな戸だった。
【終わり】
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