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「新しい地球を生きるための物語」です。
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「新しい地球を生きるための物語」
～目的地では、声が聞こえてきた～
私は、白雲畳店の中を歩いていき、
とうとう目的地と思われる場所に辿り着いた。
スンとした空気。
そこで、私は、立ち止まることに
した。
そうするしか選択肢はないようにも
感じる。
目的地に着いたのだから、そこで、
立ち止まるのは、自然なことだ。
すると、ひとつの声がしてきた。
「おかえり」
という、たった一言だった。
声を聞いた瞬間、それが誰の声かは
すぐにわかった。
そのまま、その声の主は、白い雲を
かき分けるように、現れた。
白い雲か、白い髭なのか、私には同化
して見えた。
そう、それは、雲十郎さんだった。
私に、この白雲畳店で、畳について
教えてくれた、言わば師匠のような存在。
雲十郎さんは、白い髭をプカプカと
なびかせながら、笑顔を見せていた。
私が、聞いたのは、「おかえり」の一言
だけだったが、どの言葉よりも私を
落ち着かせてくれた。
正直なところ、実家に帰り、5年振りに
母に会ったことで、名残惜しさを感じて
いたのだ。
それが、雲十郎さんの言葉で、今いる場所、
今必要な場所が、ここだということが
わかった。
「戻りました」
私は、雲十郎さんにそう言って、
自分の部屋へ戻ることにした。
【終わり】
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