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「新しい地球を生きるための物語」です。
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「新しい地球を生きるための物語」
～ドアを閉めると元に戻っていた～
私は、あまりにも不思議な光景を見て、
しばらく呆然としていたかったが、
何とかそのドアを閉めた。
果たして、母も私と同じ光景を
見たのだろうか。
ドアを閉めた後、私は、母の方を
見た。
母は、何も見ていない、いつもの
自分の家が広がっていただけだと言った。
きっと、本当のことなのだろう。
でも、母も明らかに、そうした日常的な
表情を浮かべてはいなかった。
何かを感じていたに違いない。
もしくは、私は覚えているだけで、
母は、覚えていないだけかもしれない。
私は、もう一度このドアを開けたい衝動に
駆られたが、何かブレーキのようなものも
感じた。
元の部屋が広がっていたら、何か
残念な気もするし、また同じような
光景が広がっていたら。
それは、それで、私がどうにかなって
しまったのかと、不安に思ったのだ。
そして、さらに、もっと別の世界が
広がっていたら。
怖いのは一瞬だけかもしれない。
そう、だって、私は、もう新たな世界に
一歩も二歩も踏み込んでいるのだ。
それは、もしかしたら、平然としている
母は、すでに知っているのかもしれない。
【終わり】
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