皆さま
おはようございます。
「新しい地球を生きるための物語」です。
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「新しい地球を生きるための物語」
~僕が帰って来たのは、何年振りだっけ?~
私は、母の声がするキッチンの方へと
歩いて行った。
自分の部屋からリビングやキッチンの
ある部屋に行くには、廊下を通る。
廊下も懐かしい。
廊下の木の板が、歩く度に少し
きしむのは、昔から変わっていない。
そして、私は、いつもの食卓へと
辿り着く。
母が、あれやこれやと食事の準備を
していた。
「何か手伝おうか?」
と、声を掛けたが、「いいから座ってて」
と言われて、黙って座っていた。
そして、私の好きな春巻きも母によって
運ばれてきたのだ。
「お待たせ」と言って、私に母は微笑み
かけてくれる。
「熱いの食べたいと思って、少し早めに
和(なごみ)を呼んだのよ」
「ありがとう」
たしかに、私は、熱いものを熱そうに
食べるのが、昔から好きだった。
熱いことがわかっているのに、そこに
歩みを進めていく。
熱いものは熱いうちに食べたい。
そして、母も私の目の前に座って
いた。
「いただきます」
ふたりで顔を合わせて、夕食を
いただく。
と、思ったところで、私は口を開いて
いた。
「僕が、この家に帰ってきたのは何年振りだっけ?」
母は、呆れたような感じで、言った。
「もう5年よ」
「その間、一度も帰って来なかったじゃない」
「え、そうだっけ?」
「お盆も?お正月も?」
「そうよ」
「和が一番わかっているでしょう」
「そのはずなんだけどね・・・」
「和、あなたは、高校を卒業して」
「今の畳職人になるとき」
「納得できる職人になるまで、この家には帰らない」
「なんて言うのよ」
「いつの時代の話しだろう、って思ったけど」
「和は、一度決めたら、簡単には変えないからね」
「それは、わかっていたから、私は、見送って」
「いつでも帰って来られるように、待っていたのよ」
「それが、また、何の連絡もなく」
「まさか、今日帰ってくるとはね」
母は、一気に話していた。
5年間、押しとどめていた、何かが一気に
放出されているようだった。
私は、5年間という時間を埋めるように、
ただひたすらに、母の話を聞いた。
そして、「待っていてくれて、ありがとう」
とだけ、私は、母に伝えた。
【終わり】
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