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「新しい地球を生きるための物語」です。
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「新しい地球を生きるための物語」
～いつものような声が聞こえる～
私は、実家にある自分の部屋であった
畳の上で寝転んでいた。
畳職人として、畳作りに没頭している
ことで、少し疲れていたのか。
それとも、久しぶりの実家の雰囲気に、
ホッとし、眠気が増していたのかもしれない。
うとうととしていると。
「和（なごみ）、夕飯できたわよ」
いつものような声が聞こえる。
このトーンは、小さい頃からまったく
変わっていなかった。
母の声だ。
いつも夕食ができあがると、こうして
大きな優しい声で、私を呼んでくれる。
この声は、いったい何年ぶりに聞いた
のだろうか。
高校生までは、毎日のように聞いていた
声。
私は、その声を聞いて、食卓へ行くのが
なんだかもったいなくなっていた。
でも、そうもいかない、なんて
思っている。
そして、私は、ゆったりと畳の上で、
背中を上げた。
懐かしい天井が見えていたところから、
懐かしい壁が見える。
「今、行く」
私は、畳の上で、座った状態で、キッチンの
方角を向いて、そう答えた。
【終わり】
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