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「新しい地球を生きるための物語」です。
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「新しい地球を生きるための物語」
～皆が進もうとする道に疑問を持つ～
私は、高校生になっていた。
もうこの頃は、宇宙の記憶はさっぱりと
なくなっていた。
もちろん、潜在的には残っているだろうが、
意識的になることはなかったのだ。
小さい頃、眼を閉じて話しかけていた
存在のことも忘れていた。
それくらい、今の地球での生活に没頭
していったのだ。
高校生の生活も終盤になってくると、皆、
進路というものにぶち当たるようだった。
進学をする、就職をする、とりあえず
卒業をする。
様々なようだった。
私も、友人がいたので、どうするのか
聞いたりした。
でも、そのほとんどの回答を聞いて驚いた。
皆、同じように答えるのだ。
「一応、大学に行くよ」
「一応、就職しておくよ」
「一応ってなんだろう？」
私には、理解がしにくかった。
なぜか、皆、やりたいことをやる
という回答はしなかった。
だから、私は、聞かれたらこう答えて
いたのだ。
「畳職人になるよ」
「理由？」
「畳職人になりたいからだよ」
私が、こう答えると、決まって皆、
ポカンとしていた。
そして、「そんな理由でいいの？」
「将来性はあるの？」
「畳なんて、使わなくなるんじゃない？」
皆、そう言って心配してくれた。
でも、私にとっては、やりたくないことを
将来のためにやらなくてはいけないほうが、
よっぽど心配だと思ったのだ。
もちろん、そんなことを言っても、理解しにくい
だろうから、言わないでおいた。
そんな理由で、私は、畳職人になることに
なったのだ。
【終わり】
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