皆さま
おはようございます。
「私たちの記憶を取り戻す物語」です。
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【自己紹介】
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「私たちの記憶を取り戻す物語」
~畳の匂いがつなぎ止めるもの~
私は、微かな畳の匂いを感じながら、
意識を保っているようだった。
畳の匂いがつなぎ止めているのだろうか。
私は、畳職人である。
畳職人だからこそ、畳職人として、
畳職人らしく・・・
畳職人なのだから、そんなことは。
私は、畳職人。
その前に、それ以前に、私は私だ。
そうして、私とはいったい誰なのだ?
畳職人は、この世での仮面の仮面だ。
この世を楽しむための、仮面の仮面でしか
ないのだ。
私は、畳職人の前に、私だったのだ。
畳職人として生きた人生も悪いものでは
ない。
でも、どこかで、私から畳を取り上げたら、
どうなってしまうのか、恐怖を感じていた。
それが、未だ微かに鼻腔に残る畳の
匂いなのだ。
そうか、それに気が付くときに来ている。
私は、畳職人である前に私。
そうして、私はいったい誰なのだ?
それは、やっぱり、わからないが、
少しだけ本質に近づいた気がする。
畳の匂いがしなくなっている。