皆さま
おはようございます。
「私たちの記憶を取り戻す物語」です。
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「私たちの記憶を取り戻す物語」
～御殿様の寝室の畳はどうするか～
私は、お城の大広間の畳を替え終わって、
御殿様からお礼を言われていた。
そして、我ながら、黄金色の畳が
広がる光景を満足げに見ている。
御殿様は言った。
「寝室の畳も替えて欲しい」
最初から決まっていたのか、今決まったのか、
それは、わからなかった。
なぜなら、私は、畳をたくさん用意
してきていたからだ。
新しい畳を城の外から運んでいった。
私は、御殿様の寝室に入ることなど
初めてのことだった。
古い畳をはがしとり、私は、新しい
畳を改めて敷き詰めていく。
どれくらい作業していたのだろうか。
私は、熱中していた。
畳に集中していたのだ。
きっちりきっちりと畳を敷き詰めて
いく。
そして、御殿様の寝室に新しい畳が、
敷き詰められた。
私は、少し遠目から、その光景を
確認した。
大広間とは違い、寝室らしい柔らかな
雰囲気が漂う。
大広間の畳がきらりと光るイメージなら、
寝室の畳は、ふんわりと灯るイメージ
だった。
柔らかなオレンジの光。
寝室が、包まれる。
私は、御殿様がやって来るのを
待った。
しばらくして、御殿様は、寝室に
やってくる。
御殿様は、とても喜んでくれて
いるようだった。
「あなたは、とても素晴らしい畳職人だ」
「ありがとう」
御殿様は、私の両手を握って、そう
言ってくれたのだ。
【終わり】
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