皆さま
おはようございます。
「私たちの記憶を取り戻す物語」です。
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「私たちの記憶を取り戻す物語」
～自然が織り成す美を堪能～
私と妻は、緩やかな坂道を上がっていき、
自然と共に進んでいった。
そして、気が付けば、そこは山道の
ようになっていったのだ。
妻は、呼吸を荒げるわけでもなく、気持ち
良さそうに上がっていた。
私も日頃の運動不足を思い出そうとしたが、
意外なほどに、大丈夫だった。
むしろ、歩き慣れた道のような感覚も
あったのだ。
私たちは、大きく呼吸をしながら、それこそ
浄化された空気を吸いながら歩いた。
私と妻は、会話をすることよりも、
その自然と共に進むことを楽しんだのだ。
目で見て、耳で聞いて、鼻で匂って、
口で吸って、肌感覚で感じた。
そのどれもが、私を一度リセットさせて
くれるような感覚に誘ってくれたのだ。
どれくらい上がっていっただろうか。
妻は、ゴールのようなものを知っている
ようだった。
「あと、もう少しで終わりね」
妻は、少し残念そうに言った。
私が顔を上げると、視線の先に光が
開けていく場所が確認できた。
きっと、あそこが、ゴールなのだと
わかった。
それまでは、木々が生い茂ることで
太陽の光がまばらになっているが、
その場所だけは、太陽の光が直接
射し込んでいるのだろう。
私と妻は、そこまで、惜しむように
踏みしめて、上がっていく。
途中、見たこともないカラフルな蝶々が、
私たちを導くように、前に踊るように
出てきた。
私と妻は、顔を見合わせた。
「美しい」
言葉にせずとも、表情からふたりの
言いたいことはわかったようだ。
私たちは、蝶々に導かれ、上がり
続けていく。
そうして、私たちは、ゴールのような
場所にたどり着いた。
妻は、両手を上げ、大きく呼吸を
繰り返している。
私もそれに習って、そうしてみた。
とても気持ちがよいのだ。
気が付けば、あのカラフルな蝶々は、
どこかへ行ってしまったようだ。
そして、その頂上のような場所から、
私は、眼下に広がる景色、真正面に
そびえる山を、上方に存在する空と雲を
見た。
しばらく時が止まってしまったようだった。
「自然が織り成す美を堪能」
私と妻は、そう、その言葉通り、
堪能していた。
【終わり】
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