皆さま
おはようございます。
「夢のような世界を生きる物語」です。
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「夢のような世界を生きる物語」
~新しい世界にやってきた証拠を掴みたい~
丘の上の家には、書斎があるが、
あともう一歩のところで、執筆が
進まずにいる。
そんなとき、万年筆を強い力で
握り続けていても、文字はひねり出す
ことができないことを私はしっていた。
自然と文字は、出てくるときがくる。
定時を迎えた会社から多くの人々が、
押し出されてくるように。
私は、そんなときは、決まって丘の周囲を
散策した。
ただ、歩くのだ。
丘の中を歩いていると、多くのことに
気が付く。
昨日よりも、蕾が膨らんでいること、
花がより開いていること。
葉が落ちていくこと。
木の実がたわわに実ること。
昨日と京都ではずいぶんと違う
ものなのだ。
リスに会えば、昨日とは様子が
違っていることにも気が付く。
天候のせいなのだろうか。
それくらい、変化していないようで、
自然の生き物たちは変化をしているのだ。
変化こそ、当たり前の命なのだ。
そうして、丘の周囲を私は、数時間
かけてじっくりと巡った。
夕方近くになって、私は、丘の上の
家に帰っていく。
そうして、玄関のドアを開くと、遠くの
方で、電話のベルの音が鳴っている。
私は、電話があるリビングへスタスタと
歩いて行って、受話器を取った。
相手は、お久しぶりですね、と
言ってきた。
それで、その声色で、私は電話の相手が
だれだかすぐにわかった。
英国紳士のフランクさんだ。
久しぶりに電話をかけてきてくれたのだ。
フランクさんは、私に近況を教えてくれたり、
逆に私のことを聞いてくれた。
そして、私は、今日の出来事を聞かれたので、
包み隠さずに答えた。
「執筆ができずにいます」
「文字が出そうで出ないのです」
「だから、私は、丘の周囲をただとめどなく」
「散策をしていました」
「今日、一日そうやって過ごしていたのです」
「木々が、花を昨日よりもつけたとか」
「木の実が昨日より多くなっているとか」
「リスの機嫌が、昨日よりもよいなとか」
「昨日よりも花が少しだけ咲いているとか」
「そんなとりとめもないこと」
「ただ、そんなことに気が付いただけの」
「一日です」
私は、どこか書けない自分を雑に扱うように、
それしかできなかったと、フランクさんに
話した。
でも、フランクさんは、とても興味深く
聞いてくれていたのだ。
私の、ただの散策日記のような話しを。
到底、作家が話すような波瀾万丈な
内容とはほど遠いそのお話に。
フランクさんは、受話器越しに耳を
傾けてくれていたのだ。
そして、フランクさんは、最後にこう
私に伝えてくれた。
「その変化に気が付くあなたこそが」
「新しい世界に移行した何よりの証拠です」
そして、フランクさんは、
「それでは、お互いの幸運を祈りましょう」と
言って、電話を切った。
私は、しばらくの間、フランクさんの言っている
意味はわからなかった。
受話器を置いて、そのままの姿勢で、私は
しばらくボーッとしていた。
私は、新しい世界にやってきた証拠みたいなものを
掴みたかったのかもしれない。