皆さま

 

あれもこれも自分にくっつけていくと、

本来の自分からどんどんと遠ざかります。

 

なので、持っている思い込みなどの思考を

そぎ落としていくと、シンプルになって本来の

自分に近づいていく、こういうわけです。

 

詳しくは本文をお読みください。

 

本日もよろしくお願いします。

 

【自己紹介】

幸せな人生に転換できた僕の物語

 

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「本来の自分に戻っていく物語」

~鍋の具材~

 

とあるお宅に土鍋がありました。

 

寒くなってくると引っ張り出されて

使われるようになります。

 

だから、鍋は、その出番を待っているのです。

 

鍋は、寒くなってくることを感じて

いました。

 

たくさんの具材が入って、煮込まれて、

食べられていくのが鍋にとっての楽しみ

なのです。

 

そうして、ようやく寒い日が訪れ、

鍋は棚から出されることになりました。

 

ご主人は、初老の男性です。

 

鍋は、たくさんの具材を入れられると

思っていました。

 

でも、初老の男性が入れた具材は

白菜ばかりです。

 

「あれ」

「白菜だけ」

 

鍋は、少し不満そうでした。

 

「これだけ待っていたのに、白菜だけ」

「肉や魚、ネギ、キノコ、豆腐、ニンジン」

「春菊だって」

「あんなに具材を入れてくれたじゃないの」

 

鍋の気持ちは怒りにも似ています。

 

でも、入れられたのは、白菜だけです。

 

初老の男性は、鍋を火にかけて

コトコトと煮込んでいきます。

 

鍋は、為す術もなく白菜を煮込んで

いくのです。

 

できあがった鍋は食卓、といっても

こぢんまりとした小さなテーブルの上でした。

 

初老の男性の生活はこの数ヶ月で

ずいぶんと変わったのかもしれません。

 

鍋もそのことをどこかで感じていました。

 

白菜は鍋の中でグツグツと煮えて

いきます。

 

鍋は、不満そうでありましたが、どこか

諦めているようでもありました。

 

初老の男性が鍋をのぞき込んで、

白菜をとっていきます。

 

鍋は、その様子を薄めで見るかのように

そっと見ていました。

 

初老の男性は、白菜だけの鍋を

とても美味しそうに、そして、幸せそうに

食べているのです。

 

鍋は、その様子を今度はしっかりと

見ました。

 

「たくさんの具材があればいいと」

「思っていた」

「でも、白菜というシンプルな具材だけでも」

「こうして喜んでくれる人もいるんだ」

 

鍋は、そんなことを感じていました。

 

初老の男性は、最後まで幸せそうに

白菜を残すことなく平らげるのです。

 

【終わり】

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この物語を読んで何か一つでも

感じていただけたら嬉しく思います。

 

想いを乗せて書いています。

 

皆さまよろしくお願いいたします。