皆さま
自分に合った環境に自分の身を置く場所を
変えてゆくことを、良くないことと思う人もいます。
でも、それって私もそうですが、小さい頃に
植え付けられて思い込みに過ぎません。
私もよく言われていました・・・。
そんなことじゃ、大人になってからは通用しないいよと。
ひとつの場所でコツコツと成長していく人もいれば、
自分に合った環境に合わせて変えてゆき、成長
していくタイプもいます。
自分に合ったやり方で生きていけばいいわけですね。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「環境を変えることは悪くないと知る物語」
~エビが環境を変える~
海の中にエビが住んでいました。
エビは、まるで高層ビルのような
高くそびえ立つ岩場で仕事をしています。
岩場のコケを取ったりして、綺麗に
することが仕事なのです。
エビは、大人になってからは、ずっと
その職場で働いています。
特に文句を言うこともありませんし、
黙々と仕事をしているのです。
でも、エビには沸々と湧いてくるなんとも言えない
やりたいことがあることを感じていました。
それは、コケを取ったりする掃除の仕事ではなく、
コケなどを使って、海の中に芸術作品を創る
ことだったのです。
手先の器用なエビは、コケを上手に編んだりして、
海の中に回廊を創ってみたいと思っていました。
その回廊を通る海水魚たちの心の豊かさを
もたらしたいと感じていたのです。
でも、エビは、今の職場を辞める勇気は
ありませんでした。
なぜなら、簡単に環境を変えてはいけないと
小さい頃にお父さんやお母さんに言われていた
からです。
「すぐに辞めると大人になってから困るよ」
「環境を変えるってとても怖いことなのよ」
「ひとつのことを続けられないでどうする」
「お前は忍耐力が足らん」
「一に忍耐、二に忍耐じゃ」
だから、エビは、その言葉をどこかで信じ込み、
思い込み、環境を変えないことこそ素晴らしいと
今の仕事を続けていました。
でも、だんだんと苦しくなってきています。
コケの掃除をして、岩場が綺麗になることは、
とても素晴らしいとは思うけど、自分の心の底が
満たされることはありませんでした。
そうして、その頃から、「辞めたい」と
思うようになります。
でも、いざ行動をしようとすると、お父さんやお母さんが
言っていた言葉が思い出されるのです。
その度に、やっぱりそんなこと考えない方がいいと
言い聞かせて、コケの掃除の仕事に集中しようとします。
そうして我慢をし続けてきたエビでしたが、
転機は突然にやってきました。
潮流に乗って、たくさんのカニたちがエビの住む
街に移住してきたのです。
たちまち、エビが勤めていた岩場にも
たくさんのカニが採用されました。
たくさんのカニは、エビのそれよりも効率よく
コケを取るのです。
エビは最初は頑張っていましたが、これは
敵わんと、思い、辞めることを再び考えるように
なりました。
そう、やっぱり、そんな転機でもなければ
大きな転換ということは、難しかったりするのです。
エビは、そうして、ほぼほぼ職を失う形になり、
勤め先を辞めることになりました。
そうして、言うまでもなく、エビは、魂の衝動に
従って、海の中にコケを編み込んで創る回廊を
制作します。
最初は、収入になんてなりませんでした。
近所の年老いた海水魚たちがお散歩ついでに
通っていくくらいです。
でも、徐々に、エビも声を掛けられるように
なっていきました。
「綺麗だね」
「ここをお散歩していると、気分が良いよ」
「海の写真に残しておきたいものだね」
「芸術的だ」
「心が洗われるようだ」
エビは、そうして、ありがたい言葉を
言われるたびに、大きな歓びを感じるように
なります。
それと同時に、やっぱり、あのとき辞めて
環境を変えることを選択をしてよかったと
思うのです。
今は、まだそれが収入などにはつながっていませんが、
エビの心は徐々に満たされてゆくようになりました。
きっと、これからどんどんとエビの元には
豊かさが流れ込んでくるように思います。
エビは、今日も、コケを集めてきて、
新たな回廊を創ってゆくのです。
【終わり】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。