皆さま
人間として生きていれば、
不安になることもあります。
その不安も一時的なものだったら、
いいですが、長いこと居座るとちょっと
ばかし大変だったりしますよね。
そんなときは、どうしたらいいでしょう?
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「不安になったら、最初にやりたい物語」
~エビの不安~
海の中にエビが住んでいました。
エビは、海の中をお散歩したり、
岩場を山登りしたりしています。
そんなある日、海の中で海水魚たちから
聞いた話がありました。
「近々、海の中に大きな流れがやってくるらしい」
「それがくると、海の中はめちゃくちゃになるみたい」
「僕たち海水魚もどこかへ流されてしまうらしいぞ」
そんなことを聞いたエビは、とても
不安になったのです。
「どうしよう」
「いつやってくるんだ」
「どうしようどうしよう」
エビは不安になっています。
曲がっている背中をさらに不安で
丸めているようでした。
エビは、それから夜眠るとき、とても
不安になります。
「不安よ出て行ってくれ」
「不安じゃない不安じゃない」
そうエビは呟きましたが、不安が
収まることはありませんでした。
そうして、眠れぬ夜を過ごしていた
エビの元に、ぼんやりとした明かりが
灯ったのです。
エビがそちらに視線を向けると
チョウチンアンコウがいました。
チョウチンアンコウは、エビに語るのです。
「エビさん、不安なんだね」
「海の噂を聞いたんだね」
「でもね、エビさん、不安なときは」
「不安を追い出そうとしても」
「いなくならないんだ」
「じゃあ、どうしたらいいの?」
エビは、心からチョウチンアンコウに
質問をしました。
チョウチンアンコウは、光をフワッと
強めます。
「エビさん、そんなときはね」
「シンプルでいいんだよ」
「あ、今、不安なんだね」
「そうやって、自分で自分が不安なことを」
「認めてあげるだけでいいんだ」
「じゃあ、また」
チョウチンアンコウは、明かりをグルっと
旋回させて、エビの元を去っていきました。
エビは、
「そうなんだ」
「たったそれだけでいいの?」
疑問を持ちながらも、やってみることに
したのです。
すると不思議なものです。
エビの不安は、どこかに収まりを
つけたのか、少し落ち着きました。
「不安だったんだね」
エビは、そう自分に言って、自分で
胸のあたりをさすってあげたのです。
「ずっと不安だったんだね」
エビは海の中でしたが、目から
涙が溢れてきました。
不思議なものです。
認めてあげるだけでよかったのです。
エビは、少し楽になった気がしました。
その夜は、しばらくするとエビは
眠りに就くことができたのです。
【終わり】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。