皆さま
目の前の人は鏡だなんて、
よく聞くことです。
でも、実際、どういうことなのでしょう?
そして、それをどう活かすと自分が
さらに生きやすくなるのでしょう?
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「目の前の人は鏡だと知る物語」
~麻婆豆腐定食に潜む思い~
とある中華屋さんに麻婆豆腐定食が
ありました。
このお店での人気メニューです。
なので、よくよく麻婆豆腐定食は、
お客さんに出されます。
そうして、麻婆豆腐定食の中には、
麻婆豆腐はもちろん、杏仁豆腐も
セットで付くのです。
麻婆豆腐は、いつも一緒にいる
杏仁豆腐となかなか仲良くできずに
いました。
それは、麻婆豆腐の感情が、杏仁豆腐に
よって刺激されるからだったのです。
杏仁豆腐は、とても甘いのです。
味だけでなく、自分に対してです。
とても甘く接しています。
逆に麻婆豆腐は自分に厳しいのです。
もう、どんな妥協も許さないのです。
だから、麻婆豆腐は目の前にいる
杏仁豆腐を見ていると、どうしても
イライラしてしまいました。
「なんで、杏仁豆腐はあんなに自分に甘いのだろう」
「見ていてイライラする」
「もっと自分に厳しくしないと、この中華屋でやっていけないぞ」
麻婆豆腐は、杏仁豆腐を見てはそう思い、
イライラの感情を募らせるのです。
でも、当の杏仁豆腐は、そんなことは
お構いなしに、自分に甘く、他の中華料理にも甘く、
お客さんにも甘々に接しています。
そうして、あまりに甘いと思ったのか
麻婆豆腐のイライラが頂点に達してしまいました。
麻婆豆腐が噴火したように、バチンと
はじけました。
すると、その麻婆豆腐の一部が杏仁豆腐に
かかってしまいます。
これは、もう大変です。
そこで、見かねた中立の代表でも
ありそうなライスが立ち上がりました。
「麻婆豆腐さん、杏仁豆腐さんが何か」
「悪いことでもしたのかい?」
麻婆豆腐は辛さいっぱいに答えます。
「あいつは、甘すぎる、自分に甘すぎる」
「イライラしてしょうがないんだ」
杏仁豆腐はかかった麻婆豆腐を少し
気にしながら、甘さいっぱいにそこに
存在していました。
ライスは、続けます。
「麻婆豆腐さん、あなたは、もしかして」
「自分に甘くすることをとてつもなく」
「自分で禁止していませんか?」
「本当は、もう少し甘みが必要だと思っていませんか?」
麻婆豆腐は意表を突かれたのか、
驚いたのか、怒るわけでもなく、
呆然としてしまいました。
ライスは、最後に言いました。
「目の前に現れる中華料理は、鏡ですよ」
「あなたが、禁止していることを」
「もう禁止しなくていいんですよって」
「教えてくれているんですからね」
麻婆豆腐は、ようやく少し理解を
することができたようです。
「そうか、僕は、僕自身に甘くすることを」
「禁じていたんだ」
「厳しくし過ぎてごめん」
「そして、杏仁豆腐さん」
「あなたは、何も悪くなかった」
「さっきは、本当にごめんなさい」
麻婆豆腐は、杏仁豆腐に心から
謝ったのです。
杏仁豆腐は、そんな麻婆豆腐にだって
厳しく対応することなんてしませんでした。
「いえいえ、いいんですよ」
「私は、自分にも他人にも甘く」
「ありたいだけですからね」
麻婆豆腐は、こうして、とても
大切なことを知りました。
目の前の中華料理は鏡だったのだと。
それからの麻婆豆腐は、お客さんからも
さらに人気が出ました。
「大将、麻婆豆腐なんか変えた?」
「辛さだけでなくて、なんか旨味も」
「すごく出ているね~」
麻婆豆腐は、さらに生きるのが
楽しくなったのです。
【終わり】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。