皆さま
成長意欲の高い真面目な方々からすると、
自分がもっと理想的な自分になれるように
自分に厳しくなってしまうことがあります。
もちろん、それも悪いことではありませんし、
尊いことだとも思います。
でも、時には理想通りにいっていない自分を
認めて、抱きしめてあげて欲しいのです。
それだけで、もっと楽に自分らしく
生きられるようになります。
そんなことを小動物の代表格リスが
教えてくれました。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「理想ではない自分も抱きしめる物語」
~恥ずかしがり屋のリス~
森の中にリスが住んでいました。
リスは、なぜだかとても恥ずかしがり屋
なのです。
この日は、リスが集まって、木の実を
食べながらお話しをする会がありました。
そこで、一匹ずつ、前に出て
「自分の目標や夢」について
話してみようという企画が生まれたのです。
早速、次々とリスたちが夢や目標を
前に出て語っていきます。
話しながら涙するリスや、拍手が
鳴りやまなかったり、そんな雰囲気に
なっていました。
とてもじゃないけど、リスは、
「できません」とは言えなくなって
しまったのです。
そうして、いよいよリスの順番が
回ってきてしまいました。
極度の恥ずかしがり屋のため、リスの前で
特に大勢の前でなんて、話すことなど
したこともありません。
そうして、前に出て、多くのリスを
目の前にしたら、恥ずかしがり屋の
リスは、何も言葉が出てこなかったのです。
「がんばれー」
「この流れで言っちゃえー」
「早くシロー」
などなど応援なのか野次なのか
わからない言葉が聞こえてきます。
それでもリスは、結局、前に出たものの
夢や目標はおろか、自己紹介さえも
できずに終わってしまいました。
司会役のリスがうまいこと話してくれて、
その場は特に盛り下がることなく、進んで
いったのです。
そうして、その会は終わっていきました。
リスに残ったのは、後味の悪さです。
家までの帰り道をリスは歩きながら、
いろいろと湧いてくる想いがあります。
「あー、なんで言えなかったんだ」
「こんなところで恥ずかしがっているなんて」
「なんて、自分はできないんだろう」
「恥ずかしがり屋な自分なんて大嫌いだ」
自己否定のオンパレードでした。
そのリスのお散歩のような歩きに
ぴったりと頭上でペースを合わせて
飛んでいる生き物がいます。
なんと蝶々でした。
蝶々はリスの今日の一部始終を
見てきていたのです。
蝶々はリスの頭上からリスに話しかけます。
「リスさん、リスさん」
リスは、どこからか声がすると思いましたが、
まさか頭上とは思わず、気のせいだと思い、
歩き続けます。
それでも気が付かないようだったので、蝶々は
木の実を拾ってきて、頭上からポトンとリスの前に
落としました。
ようやくリスが上を見上げます。
リスは蝶々と目が合いました。
蝶々は、ニッコリと笑顔でリスに
笑いかけます。
そのまま蝶々は、リスに話し始めます。
「リスさん、今日のことずっと見ていましたよ」
リスは、それこそ恥ずかしいと感じていますが、
どこかやぶれかぶれになっていたので、特に
返事もしませんでした。
蝶々は続けます。
「リスさん、恥ずかしがり屋のリスさんでもいいじゃないですか」
「気分を悪くされたら、申し訳ないですけど」
「私には、そんな恥ずかしがり屋のリスさんが」
「とても可愛らしく見えましたわよ」
「夢や目標は、心にしまっておいたって」
「いいじゃないです」
「恥ずかしがり屋の自分だって、とても素敵だと思います」
リスは、少し不貞腐れたように
返事をしました。
「そんなところで恥ずかしがっているなんて」
「大人のリスとしてダメだと思います」
「もっと、ちゃんとしないと・・・」
蝶々は、それを聞いて再び
話し続けます。
「恥ずかしがり屋のリスさんもリスさんの一部です」
「それは間違いないと思います」
「そんな自分の一部と否定しないで」
「認めてあげてください」
「今夜は、そっとそんな自分を抱きしめてあげてください」
そう言うと、蝶々は方向転換をして
リスの頭上から飛び立っていきました。
リスは、なんだか胸のあたりが
サワサワしていることに気が付きます。
「そうか、恥ずかしがり屋の自分も自分の一部か」
「抱きしめる・・・」
その夜、リスは、思い切り泣きました。
自分が嫌になったのか、うまくいかなかったからなのか、
真相はわかりません。
でも、リスは、恥ずかしがり屋の自分を
認めることにしました。
「恥ずかしがり屋でもいいんだ」
「だって、それも自分だから」
そうして、そんな恥ずかしがり屋の
自分をイメージでギュッと抱きしめるのです。
そうすると、なんだかリスはとても楽に
なった気がしました。
胸のあたりに新しい光がポッと優しく
灯ったような感覚になったのです。
そうして、リスは、目を閉じて、先ほど
教えてくれた蝶々にお礼を伝えます。
「蝶々さん、教えてくれて」
「ありがとう」
「これからは、いろんな自分を愛して」
「抱きしめていこうと思います」
リスは、心暖かに、ゆっくりと
眠りました。
【終わり】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。