皆さま

 

「今、幸せになりましょう」という言葉を

見かけることも増えてまいりました。

 

たしかに、それって大事なことだと

私も経験を通して感じます。

 

それから幸せって広がっていくのだとも

思います。

 

でも、「今、幸せになる」って一体なんなのでしょう?

それが、わからないと困っちゃいますよね。

 

小動物の代表格リスが、教えてくれました。

鳥かごの似合わないフクロウも登場します。

 

詳しくは本文をお読みください。

 

本日もよろしくお願いします。

 

【自己紹介】

幸せな人生に転換できた僕の物語

 

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「今が幸せって一体なんなのかを知る物語」

~不満だらけのリスの変化~

 

森の中に住むリスがいました。

 

リスは、ずいぶんと年齢を重ねていますが、

今までずっと一匹で生きてきています。

 

長く生きれば幸せになっていけるかと

淡い期待を抱いていましたが、結局

未だに幸せを感じて生きることが

できずにいました。

 

そのことをリスは、何者かのせいに

しています。

 

「なんで私は幸せじゃないんだ!」

「不幸だ不幸だ」

「ずっと貧乏な暮らしだ!」

「結婚だってできなかった!」

「気が付けば友達もいない!」

「孤独だ」

 

そんな風に、何かイライラするような

ことが起きる度に、不満を露わにするのです。

 

でも、リスがいくら何物かに不満を露わにしようが、

一向に状況は改善することはありませんでした。

 

「いったいどうしたらいいんだ」

 

リスはいてもたってもいられなくなり、

森の中を一匹でお散歩に出かけました。

 

本当は山登りにでも出かけたかったですが、

リスは体力もずいぶんと落ちていたのです。

 

リスが相変わらず下を向きながら、

お散歩を続けていると、大きな鳥の羽が

落ちていることに気が付きます。

 

リスは小さな両手でその大きな鳥の羽を

拾い上げました。

 

鳥の羽は、何やら少し光っているようにも

見えます。

 

すると、リスはその先にも同じように

光っている大きな羽があることに気が付きました。

 

リスは、どんどんとその光る羽を追いかけて

いきます。

 

リスは無我夢中で進んでいきました。

 

そうすると、大きな木が生えている

場所に辿り着きます。

 

リスが大きな木を呆気にとられて

見上げていると、そこに生き物がいることに

気が付きました。

 

どうやら、フクロウです。

 

見るからに大きなフクロウでした。

 

リスは初めてみる大きさのフクロウに、

驚きを隠せずにいます。

 

フクロウが木の上から、大きな風を

起こして地上に降り立ってきました。

 

「リスさん、よく来ましたね」

 

リスは、そう言われて自分がなにか

危害を加えられるのではないかと

警戒します。

 

フクロウは、それを察知したように、

柔らかな雰囲気を創り上げるのです。

 

すると、リスは、自分がここに導かれたことを

直感的に理解しました。

 

「リスさん、あなたは自分をとても不幸だと思っている」

「到底、自分が幸せになんてなれないとも信じている」

「そうですか?」

 

リスは、なぜこんなことを聞かれているのか

一瞬だけ疑問に思いましたが、素直に答えることに

します。

 

「はい、その通りです」

 

フクロウは、まるでリスがそう答えることを

知っていたかのように、続けざまにリスに

質問をしていきます。

「では、こんなことは聞いたことはありますか?」

「今、幸せになりましょう」

「という言葉」

 

「はい、何度か聞いたことがあります」

「でも、今、幸せになれないから」

「私は不幸なのだと思います」

 

フクロウは、よくわかると言った風に

大きく2度うなずきました。

「そうですよね」

「では、今、幸せになる方法があるのだとしたら?」

「それはどうですか?」

 

「そんなものがあるのなら今頃」

「私だって誰だって幸せになっているんじゃないですか!」

 

少し口調の荒くなったリスを

制止するわけでもなく、フクロウは

淡々と言葉を進ませ続けます。

 

「今が幸せというのは、今のリスさんの状況で幸せになる」

「そういうことです」

「でも、それが難しいと感じるのもよくわかります」

「いいですか」

「もちろん、今、と言ってもすぐに幸せだと」

「感じなくてはいけないわけではありません」

「ひとつひとつ今、あるもの、それをリスさんなりに」

「認識してみてください」

「リスさんが生きていられるのは、どうしてですか?」

「空気がある、水がある、森がある」

「森があるから木の実がある」

「太陽だってなければ、森もない」

「実はリスさんの身の回りには」

「あるものだらけなんですよ」

 

リスは、そう言われても不満気では

ありましたが、明らかに先ほどよりは

表情が緩んでいました。

 

「リスさん、きっとすぐには納得できないと思います」

「でも、今を幸せと感じることから、幸せは広がりみせます」

「どうか、そのことだけは心に留めておいてください」

「もちろん、リスさんの好きにしていいですからね」

 

そう言い終えると、フクロウは、特に

表情を変えることなく大きな木の上へと

羽ばたいていきます。

 

リスは、その姿を地上からボーっと

眺めていました。

 

リスは、それを聞いただけでは、たしかに

「今が幸せだ」と感じることはできませんでした。

 

でも、たくさんの木の実があれば、

大きな家に住むことができれば、

結婚できれば、友達がたくさんいれば、

理想の仕事をすることができたら、

そうすれば幸せになれると思っていたことは、

幻想だったのだと理解することはできたようです。

 

それから、リスは、時間をかけて、

今あるものに意識を向けて幸せを

感じるようになりました。

 

朝起きられたこと、お散歩できること、

木の実を食べられること、森があること、

太陽が昇ること、水が流れること、

夜眠ることができること、数えだしたら

キリがありませんでした。

 

そうしていくうちに、リスは、不思議と

自分がどれだけ恵まれているのかを

本能的に知ることになったのです。

 

「あ、私、今、幸せだったんだ」

 

それは、唐突に訪れました。

 

リスは、それからこの幸せをもっともっと

広げて行こうと生きてゆくのです。

 

「フクロウさん、大切なことを」

「教えてくれて、ありがとう」

 

【終わり】

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この物語を読んで何か一つでも

感じていただけたら嬉しく思います。

 

想いを乗せて書いています。

 

皆さまよろしくお願いいたします。