皆さま

 

今を見よう、未来を見よう、そんな

お言葉を見かけることも多いです。

 

たしかに、そうしていきたい気持ちも

わかります。

 

でも、私自身の経験を振り返ってみると、

どうしても過去を見て、許していく大切さも

実感しています。

 

それによって、私自身はとても生きやすく

なったからです。

 

そんなことを水槽や海の写真の主人公にもなり得る

エビが教えてくれました。

 

詳しくは本文をお読みください。

 

本日もよろしくお願いします。

 

【自己紹介】

幸せな人生に転換できた僕の物語

 

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「過去を許すことも必要だと知る物語」

~エビの劣等感の正体~

 

海の中にエビが住んでいました。

 

エビは、自分で仕事もして、趣味の

時間を持ち、仲間たちにも恵まれて

過ごしています。

 

でも、時折、家の中で一匹になると、

「自分なんてダメだ」とか、

「きっと、仕事がうまくいかない」とか

劣等感に襲われることがありました。

 

でも、その度に「そんなの自分の幻想だ」と

言い聞かせて、そうして何度も現れる

劣等感に包まれた自分を放っておきます。

 

「そんな自分は幻想だ」

 

何度も何度も言い聞かせます。

 

でも、そんな自分は何度だって出てきます。

 

エビは、なかなか消えない劣等感に

嫌気がさしていました。

 

そうして、そんなときは、決まって

水草の中などを泳ぎながらお散歩を

して、気持ちを切り替えるのです。

 

それでもエビの気持ちはなかなか

切り替わりませんでした。

 

エビが、水草の間を縫って泳いでいると

目の前にタコが現れます。

 

タコは、エビを見ながら、優しい表情を

浮かべます。

 

「エビさん、あなた、今とても充実しているよね」

「でもね、時折出てくる劣等感に苦しんでいないかい?」

 

エビは、タコに言い当てられて

驚きを隠せませんでした。

 

思わずエビ反りしそうにもなります。

エビはグッとこらえました。

 

タコは身体をくねらせて

そのまま続けます。

 

「エビさん、時折出てくる劣等感は」

「エビさんの過去の自分だよ」

 

エビはとうとうエビ反りをしてしまいます。

あまりの衝撃だったからです。

 

「か、過去の自分!」

 

「そう、エビさん、それは過去の自分」

「エビさんは、過去の自分を置いてけぼりにして」

「そのまま生きてきたでしょう?」

 

エビは図星でした。

 

「え、僕の過去にそんな劣等感を感じるような」

「自分はいないさ」

 

エビは背中を丸めて、思い切り

強がって見せます。

 

タコは、相変わらず足をクネクネと

揺らしていました。

 

「エビさん、それは本当かな?」

「きちんとこれを機に振り返ってみるといいよ」

「過去の劣等感を感じていた自分を許してあげて」

「そんな自分がいたからこそ今があるって認めてあげて」

 

そんなことをタコに言われたエビは

胸のあたりがキューっと締め付けられる

想いがしました。

 

そう、エビは、小さい頃、海水魚が

集まる学校に通っていたのです。

 

エビは、そこで、多くの海水魚たちに

「お前の身体は曲がっているな」

「そんなんじゃ真っすぐ泳げないぞ」

「背筋を伸ばせよ」

と、身体のことで意地悪をされ続けて

いました。

 

エビが感じてしまったのは、そこでの

大いなる劣等感でした。

 

「他の海水魚たちは、背骨が真っすぐでいいな」

「僕は、曲がっているからね」

「ちきしょー」

 

そうして、小さい頃の過去のエビは

そうして劣等感を感じていったのです。

 

タコは、苦しそうにしているエビに

向かって、助言をしてくれました。

 

「エビさん、しっかり今出てきている過去の」

「劣等感を感じている自分を許してあげて」

「もう排除しようとしないであげて」

「劣等感を感じてきた自分もエビさんの一部なんだよ」

「過去のね、劣等感を感じている自分の話しを聞いてあげて」

 

そうして、タコは、上を向き大量の墨を

吐き出しました。

 

まるで、エビの代わりに溜まった何かを

吐き出したかのように感じます。

 

エビは、黒く染まった海水の中で

胸のあたりにいる過去の自分に

声を掛けてあげました。

 

「今まで、無視してきてごめんな」

「あのとき、劣等感を感じて」

「それをバネにして、どうにか」

「自分で仕事をすることが」

「できるようになった」

「そう、過去の君のおかげなんだ」

 

「本当に過去のあの辛いとき」

「がんばってきてくれたね」

「歯を食いしばるような思いを」

「たくさんしてきたけど」

「本当に今までがんばってきてくれたね」

「ありがとう」

 

エビは胸のあたりの過去の自分に

多くの言葉をかけてあげました。

 

すると、過去の自分なのか、今の自分なのか

わかりませんでしたが、エビは大きく泣きました。

 

時には嗚咽をしながら涙するのです。

 

その時間はとても多くの時間が

かかったように思います。

 

なぜなら、タコの墨で黒くなった海水は

今や綺麗に流されていたからです。

 

エビは、大きな浄化が起きました。

 

ようやく、エビは過去の自分を認め、

許し、癒すことができたのです。

 

これからも劣等感が出てくることだって

あるかもしれません。

 

でも、エビは、もうそれを見ないようには

しないことを誓いました。

 

そんな過去の自分も自分であることに

違いないからです。

 

エビは、またひとつ大きく成長したように

見えました。

 

大切な個性が、故郷を見つけたからです。

 

エビは、そうして、また楽になりました。

楽に生きられるようになりました。

 

とても自分らしく生きられるようになったのです。

 

エビは、大切なことを教えてくれた

タコに感謝をしました。

 

「あのときのタコさん、ありがとう」

 

【終わり】

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この物語を読んで何か一つでも

感じていただけたら嬉しく思います。

 

想いを乗せて書いています。

 

皆さまよろしくお願いいたします。