皆さま
自分が幸せになることができたら、
やっぱり、その幸せをどんどんと
広げていきたいですよね。
幸せってどうやって広がって
いくのでしょう?
そんなことを小動物のリスが
教えてくれました。
珍しく鳥かごが似合わない
フクロウは登場しないようです。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「幸せが波紋のように広がる物語」
~リスが落としたもの~
森の奥深いところにリスが
住んでいました。
リスは、病気になってしまい
自宅で寝て過ごす日々が続きます。
そんな日々がもうずいぶんと長い間
続いていました。
リスは、最初は、そんな現実に
向き合うことができずいたのです。
それもそのはずです。
リスはずっと元気いっぱいに
過ごしていました。
でも、急に病気になって、自宅で
寝て過ごすことになったのです。
でも、リスも様々な葛藤がありましたが、
自分がどうして病気になったのかなど、
理解していくようになりました。
「こうして、自分の生き方を見つめ直す必要があった」
とても長い時間でした。
その間、リスは、頼るものもなく、
ただひたすらに孤独にも耐えてきたのです。
そんなとき、ずっと一緒に持っていたのが、
大切にしている木の実です。
寝たきりになりながらもリスは、
天井を見上げながら、この木の実を
小さな手で抱えるように持っていました。
そうして、どうして自分が病気になって、
様々な体験を通して、
「病気になることで、大きな成長があった」
そう心から感じることができたとき、
リスは身体を起こすことができるように
なったのです。
この木の実は、そうしたリスの
成長を見守ってきてくれた、お守りの
ような存在でもありました。
リスにとっては、自分が幸せになるために
一緒に歩んできたような気さえしています。
そうして、リスは、その体験を経て、
「同じように病気で苦しんだリスのサポートをしたい」
「自分が幸せになれたように、この幸せを広げていきたい」
そう心の奥底から望むようになったのです。
その想いは、この木の実にも
しっかりと伝わっていきました。
リスは、ようやく外にも出かけられるようになり、
大好きだった登山は、まだ無理にしても
お散歩をするようになったのです。
この日もお散歩ができる歓びを
噛みしめながら、森の中をリスは
歩いていました。
すると、ずいぶんと森の中も変化しているようで、
見たこともない泉を見つけたのです。
その泉は透き通っていて、水面も
波一つ立たない穏やかなものでした。
水面はまるで鏡の様に光り輝いて
見えることもあるくらいです。
リスは、しばらくの間、その泉の水面を
上から覗き込むように眺めていました。
不思議と時間が経っていたようです。
「そろそろ行きゃなきゃ」
リスが、そう思い、その場から
立ち去ろうしたとき、いつもなら
落とすはずのない、大切な木の実を
落としてしまいました。
病気で寝たきりの間も、ずっと一緒にいた
木の実です。
「あ!」
と、リスは小さい手を伸ばしましたが、
時すでに遅かったようでした。
木の実はコロコロと転がり、泉の
水面へと落ちていったのです。
「ポトン」
水面に落ちたとき、とても軽やかな音が
静かな森に染み入りました。
リスは、木の実の行方を目で
追います。
光り輝く水面、それを経て、底の方へと
ゆっくりと落ちてゆきました。
「あー」
それと同時に、泉の水面には
水の波紋がゆっくりと広がっていきます。
その水の波紋をリスは、じっと
見ていました。
そのとき、リスの心にも何かが
伝わった気がします。
この波紋の広がりが、自分がこれから
行っていきたいと思っている
「幸せを広げること」を
表現しているのだと、瞬時に理解しました。
それが、大切にしていた木の実を落としたことで
波紋が広がっていくことも偶然ではないと、リスは
感じています。
「水面に広がる波紋のように、幸せを広げる」
リスは、大切な木の実を落としてしまいましたが、
このときから新たなステージに立って、生きることを
始めるのです。
【終わり】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。