皆さま
人間、長年生きていると、気が付いたら
自分の思いではなく、周囲に影響されて
しまい、自分自身を何かで
飾ってしまうことがあります。
もちろん、飾ったっていいのですが、
そうすると、純粋な想いを持っていても
自分にも相手にも伝わらなかったりするのです。
だから、自分も相手もなんだか
モヤモヤしてしまいます。
「飾らないそのままの自分」
文字で書くと簡単ですが、それって
いったいどんな自分なんでしょう?
そんなことを小動物の代表格リスが
教えてくれました。
鳥かごに入っているのが似合わない
フクロウも登場するようです。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「飾らないそのままの自分で勝負したくなる物語」
~リスが飾るのをやめた~
森の奥深くの場所にリスが
住んでいました。
リスは、いよいよ自立をして
お仕事を始めようとしています。
まずは、就職をしようとあちらこちらの
会社の面接を受けていました。
でも、なかなかうまくいきません。
木の実の加工工場も、
木を削って家具を作る工房も、
木の実を配達する宅配会社も、
いろいろ就職試験を受けましたが、
いつも面接で落ちてしまうのです。
「もう、僕を雇ってくれる会社なんてないのさ」
リスは、どこかやぶれかぶれに
なっていました。
自分でもなぜうまくいかないのか
見当もつかなかったのです。
だから、リスはこれ以上どうしたら
いいのかわかりませんでした。
なので、就職試験のことはしばらくの間、
忘れてお散歩をしたり、好きな山登りなどを
行って過ごしています。
そんなある日の夜のことでした。
リスが疲れて眠っていると、
どこからともなく音もなくフクロウが
枕元にやってきたのです。
リスは、半分意識がありませんでしたが、
どこかでフクロウの気配を感じていました。
フクロウが、羽の音もさせず静かに
降り立つと、少しだけフワッと風が
舞います。
その風がリスの柔らかな毛を
なびかせるのです。
フクロウは、静かにリスが起きないように
そんな声の大きさで話し始めました。
「リスさん、就職がうまくいかないんでしょう?」
「なんでだろう?」
「そんなこと、もうわからないくらい試験は受けているものね」
「私からリスさんに言えることがあるよ」
「リスさん、面接で何か質問をされたとき」
「リスさんは、どうやら答えるときに」
「リスさん自身がどう感じるかよりも」
「世間や立派なリスだったら」
「どう答えるだろう?」
「そう考えて答えているように感じるんだ」
「もちろん、それが悪いわけではないよ」
「そんな答えが必要なときだってある」
「でも、どうしてこの仕事をやりたいのか」
「その根本になるようなリスさんの想いは」
「自分のハートから出てくるものを伝える」
「必要があると思うんだ」
「リスさん、本当はあるだろう?」
「今回伝えたかったのはそのことなんだ」
「リスさん、君は飾らなくても」
「とても素敵なリスさんなんだ」
「じゃあね」
それだけ言うと、フクロウは再び
音もなく羽を広げて、月夜が明るい
夜空へと飛び立っていきました。
リスは、半分意識が戻らないまま
眠っているのか起きているのか
わからないまま、そのことをリス自身の
大切なところに収納するのです。
リスは、明くる朝、目を覚ましました。
フクロウから言われたことが、やっぱり
どこからか思い出されます。
「飾らないそのままの自分か・・・」
たまたまこの日は、入れ歯の
会社の面接でした。
「入れ歯かあ」
リスはその入れ歯の会社に
向かいながら、自分に聞いてみます。
「なんで、僕は入れ歯の会社を受けたいんだい?」
「高齢化社会で、前歯を失うリスが多くなり」
「需要が高まったから、将来性を考えて・・・」
リスは、そこまでブツブツを言って、
首を大きく何度も横に振りました。
「いや、違う違う」
「それこそフクロウさんが言っていた」
「世間の意見になってしまった」
「そうじゃないな」
リスは、もう一度胸に手を当てて
感じてみました。
「あ」
「困っているリスたちの何か役に立ってみたい」
「困っているリスが少しでも生きやすくなるように」
リスは、なんだかとてもピンときました。
「そうか!」
「これだ!」
「僕は、困っているリスが少しでも生きやすくなるサポートがしたいんだ」
この入れ歯の会社は、前歯を失い
固い木の実が食べられなくなった
リスに入れ歯の前歯を作るサービスを
行っていたのです。
リスは、面接で、飾らない自分で
純粋な想いをそのまま伝えることにしました。
「飾らないそのままの自分で勝負する」
すると、面接は、驚くほどスムーズで
話しも盛り上がったのです。
そうして、見事にリスは入れ歯の会社から
内定通知を得ました。
「やったー!」
リスは、ようやく決まった就職に
とても歓びます。
そうして、ようやく自分の
「困っているリスが少しでも生きやすくなるようにしたい」
という純粋な想いを仕事を通じて
叶えられることにとても歓びを
感じているのです。
リスは、そのことにとても
ワクワクします。
この日の夜、寝床に行ったリスは
夜空を見上げ、あのとき来たであろう
フクロウに、感謝の気持ちを伝えるのです。
「フクロウさん、あの夜は」
「大切なことを教えてくれて」
「ありがとう」
あの日と同じように夜空で光り輝く
月が、そこにはありました。
【終わり】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。