皆さま
敏感で繊細だと、時として
しんどいこともありますよね。
実は、私も割とそんなところがあります。
でも、発想を変えてみると、そのことを
宝物に変えることだってできるんですよ。
そんなことをリスが教えてくれました。
鳥かごに入るのが似合わないフクロウも
登場するようです。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「敏感で繊細な人が才能を発掘する物語」
~リスの本当の才能~
森の中にリスが住んでいました。
リスには、困っていることがあります。
それは、自分がとても敏感で繊細なのです。
眠っていてもフクロウの鳴き声が
すれば、その声で目を覚ましてしまいます。
あまりにも眠れないので、リスはそのまま
お散歩に出かけたり山登りをしたことだって
ありました。
他のリスたちが集まって話していると、
なんだか自分のことを言われているような
気になってきます。
見かけない動物が困っている様子だと、
自分まで困っているような気持ちになってきます。
だから、リスは、毎日とても疲れて
しまうのです。
リスはそんな敏感で繊細な自分を
嫌だなあと思っていました。
なんとか、音がしても気にしないように
気にしないように努めますが、まるで
逆効果なのです。
ますます、夜は眠れなかったりしました。
そうして、ある日の夜、今夜は静かであって
欲しいな、なんて思いながらリスが眠りに
就きます。
ウトウトとリスがしていると、やっぱり
遠くの方からフクロウの鳴き声が
「ホー、ホー」としてくるのです。
しかもその鳴き声は、段々とリスに
近くなってきているように感じます。
やがて、気が付くと、リスの耳元で
聞こえてきているような感じがしたのです。
その通り、フクロウは、リスの枕元に
立っていました。
敏感で繊細なリスさえもフクロウの動きには
気が付かないほどです。
そうして、驚いているリスにフクロウは、
お話しをしてくれました。
「僕の鳴き声が気になって眠れないんだろう?」
リスは、その言葉にどこか遠慮をして、
「いえいえ、そんなことは・・・」と
答えます。
しかし、フクロウはそのまま続けました。
「リスさん、あなたはとても敏感で繊細な小動物」
「これは、別に悪いことではないんだよ」
リスは、そう言われても納得できず、
こんな風に返答したのです。
「いや、でも、そのせいでかなり毎日疲れています」
「そうだろうね」
「だからね、敏感で繊細だったらね」
「それを才能に変えることだってできるんだよ」
「僕、フクロウもかなりの敏感で繊細な心を持ち合わせているんだ」
「ちょっとした、物音でもビクッとなるからね」
リスは、不思議そうな表情を浮かべます。
「敏感で繊細なことが才能に?」
「信じられないな」
「こんなのしんどいだけさ」
フクロウは左右均等に大きく
首を振ります。
「リスさん、きっとあなたは敏感で繊細だから」
「とても他の小動物や生き物たちの気持ちがわかるだろう?」
「もしかしたら、わかり過ぎて辛いくらいかもしれない」
「敏感で繊細というのは、そこに意識が向きやすい」
「そんな特徴があるんだよ」
「だからね、その特徴を活かしてあげれば」
「それは、間違いなく才能になるわけさ」
リスは、そこまで言われても
信じ切れずフクロウの腹の内を
探ろうとしていました。
「そんなのウソさ」
「こんなのどうやって活かせばいいのさ」
「今夜だってフクロウさんの鳴き声で本当は目を覚ましたんだからね」
フクロウは、もう一度姿勢を正して
話し始めます。
「意識が向きやすい」
「他の生き物の気持ちがよくわかる」
「だから、その小動物や生き物がどうしたいかもわかったりする」
「そうじゃないかい?」
「それは立派な才能だよ」
「そのわかる気持ちを活かして」
「他の小動物の相談に乗れるかもしれない」
「もしかしたら、その気持ちを表現することで」
「小説家や脚本家になれるかもしれない」
「絵や書などで、自己表現できるかもしれないね」
「同じように苦しむ人たちに向けて、何か発信だって」
「できるかもしれない」
「音が気にならなくなるような、枕を開発できるかもしれない」
「いろいろな可能性があるんだよ」
「リスさんならではのね」
リスは、そこまで聞いて、なんだか
納得しかけているようでした。
「これは、僕の才能でもある」
フクロウは、その言葉を聞き
大きくうなずきました。
「そう、まさにその方向に意識を向けるんだよ」
「それが、敏感で繊細な生き物の才能でもあるから」
そうして、フクロウは、自分で敏感で繊細と
言っていた通り、静かにその場を後にします。
リスは、自分が何をしていくのかは
ハッキリとはわかりませんでした。
でも、この敏感で繊細な自分の特性を
才能に変えていけるという、とても前向きな
気持ちになっていったのです。
リスは、今が夢なのかもしれないと、
感じました。
すぐさま、夜空を見上げてみると
たしかに先ほど飛び立ったフクロウが、
月の明かりにほのかに照らされて
夜空を飛んでいたのです。
「フクロウさん、今夜は大切なことを」
「教えてくれてありがとう」
リスは、この日はぐっすりと
眠るのです。
【終わり】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。