皆さま
自分の中のセンサーを頼りに
人生を進んで行くと、大きく道を
逸れることは、少なくなるように感じます。
山登りやお散歩で道に迷わないためには、
地図や道を知っていることが大切です。
その地図ともなると言える
自分の中のセンサーに気が付くには、
どうしたらいいのでしょうか?
電車に乗れないはずのリスが、
都会に出てきて、いろいろと体験したようです。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「自分とつながって、自分らしく生きる物語」
~都会に住むリス~
人間たちの作った街、都会に
住んでいるリスがいました。
リスは、都会に住んでいるので、
食事も仕事も人間からもらっています。
リスは、人間の前にたまに姿を
現すことで、驚かれます。
この日のリスは、電線の上を疾走して
見せました。
ある意味命がけです。
その姿を見た人間たちは、
「リスだリスだ」と歓喜しました。
そうして、驚いた人間たちは、
こぞって食事を与えてくれるのです。
都会に住むリスは、こうして自分の
生活を維持して、ある意味華やかに
暮らすことができました。
なんと言っても都会に住むリスというのは、
やっぱり、どこか上に見られるのです。
そのことを都会に住むリスたちは
知っていました。
でも、この都会に住むリスは、どこかで
違和感を感じ始めています。
人間たちの前をタイミングを狙って
疾走して、食事をもらう、確かに
生きてはいけるし、なんだか華やかで
目立つ世界に生きることはできる。
「自分は本当にそんなことを望んでいるのだろうか」
「いや、きっとこれが幸せなんだ」
「これこそが、リスにとっての最高の生き方なんだ」
そうやって、リスは自分に言い聞かせて
毎分やってくる違和感をねじ伏せていきました。
でも、ある日から、人間の前を
軽快に疾走できなくなってしまいます。
どうしても走れないのです。
とてもスローな走りになってしまい、
今にも電線から落ちてしまいそうになりました。
電線から落ちてもリスの命は危ないですし、
スローにしか動けないと簡単に人間に
捕まってしまいます。
リスは、とても大きな恐怖感を
覚えます。
そんな状態でも、都会に暮らし続ける
リスでした。
食事は人間から直接もらうことができないので、
仲間のリスからおこぼれをいただいて生活
しています。
他のリスが、食事をもらいに人間の前に
出ていっている、そんなある日、リスが
しんどそうにふて寝していると、なんと
大きな熊がやってきています。
この熊は、普段は山に住んでいましたが、
人里へ降りてきていたのです。
リスは、熊の姿を見ると、飛び起きました。
「あ、食べられる」
リスは、そう確信しましたが、熊は
そんなことをしませんでした。
大切なことを伝えに来た、そう言って、
熊はリスに語りかけるのです。
「もっと自分のことを良く知るといいよ」
「もっと自分の本音を知るんだよ」
「それが、自分とつながることになるから」
「自分とつながるとね、自分らしく生きることができるよ」
「だからね、きっと自分本来の生き方ができるようになるからね」
「生きるのがとても楽しく充実するよ」
熊は、続けざまにそう言って、
静かに人里を後にして、山へ
帰って行きました。
リスは、熊の言葉が頭から離れずに
います。
「僕は自分とつながっていなかったんだ」
それから、リスは、どうして、自分が
都会に住んでいるのか、本当は
どうしていきたいのか、今湧いてきている
違和感について徹底的に考えることに
しました。
「どうして、そうしたいの?」
「なんで?なんで?」
しつこいくらいに、自分自身に問いかけます。
それが、自分とつながるためのきっかけに
なることをリスはどこかで理解しているようでした。
そうしているうちに、リスは、自分の本音に
気が付き始めるのです。
「都会に住んでいるのは、それが価値があると思い込んでいたからだ」
「僕は、本当は、森の奥で、自然に囲まれて、静かに暮らしたかったんだ」
リスは、自分とつながることで、
自分の本音に気が付き、自分を深く知り、
本当の望みにも気が付くことができました。
リスは、都会の仲間たちに、別れを告げて、
森の奥に帰ることにしたのです。
その生活は、都会のものとは、比べ物にならないくらい、
静かだし、質素で、地味な感じもしました。
でも、そんな生活がリスにとっては、合っていたのです。
だから、走れなくなっていたリスの身体もどんどんと
調子が良くなり、森の中を疾走できるようになっていきます。
そうです、もちろん、リスの中には都会での
生活が合っているものもいるはずです。
でも、このリスのように、自分とつながっていないため、
自分の本音や自分を知らないことで、本当に合っている
ことからズレたところで、がんばろうとしていまいます。
やっぱり、自分の気質とは異なる環境で
生きるとなると、それはどうしても生きにくい
部分が出てきます。
そうなるか、そうならないかは、いかに
自分を知っていることが大切になるのです。
リスは、森の奥に住み始めて、しばらくして、
自分の体調がずいぶんと良いと感じました。
と、同時に、なんとも言えない幸せ感を
感じるようにもなります。
リスは、森でせせらぎの音に耳を傾けながら、
わざわざ山から下りてきて、いろいろと
教えてくれた熊に感謝の気持ちを送ります。
「教えてくれてありがとう」
【終わり】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。