皆さま
生き方って、選べないようで
選べることも多々あります。
それが、何をベースに生きるかです。
辞めたい生き方は卒業をして、自分の
生きたい世界で生きましょう。
そんなことを温泉旅館の太鼓が
教えてくれました。
温泉旅館でたまに、太鼓の音で
出迎えてくれるところありますよね。
あれ、すごく好きなんです。
温泉旅行で、旅館に泊まって、太鼓を
聞きながら日本酒を飲むと、なんだか
心が浄化される気がします。
個人的感想です。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。、
【自己紹介】
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「不安や恐怖をベースに生きる世界から卒業する物語」
~太鼓が叩かれる意味を見出す~
とある温泉旅館に、太鼓が
ありました。
太鼓は、温泉旅館に泊まりに来た
人がやってくる度に、低く胸に響く
音を鳴らしました。
でも、太鼓は、実は叩かれことが
不安で、怖くてたまらなかったのです。
「そんなに強く叩かれたら、壊れちゃうよ」
「叩いている人は、きっと僕を壊そうとしているのだろうか」
太鼓は、どっしりとした音を出しつつ、
心の中では、ずっと不安や恐怖をベースに
生きていたのです。
だから、太鼓が体験する現実は、
不安や恐怖を煽られることばかりが
起きました。
本当は、太鼓がそれに気が付き、
不安や恐怖をベースにしなくなれば、
そんな現実は起きなくなっていきます。
でも、そんなことには、なかなか
太鼓は気が付けませんでした。
だから、もう仕方がありません。
太鼓は、そのことに自分で体験をして
気が付いていくしかありませんでした。
ある日のこと、いつものように
温泉旅館にお客さんがやってきて、
思い切り太鼓は叩かれます。
その瞬間、「バリ!」大きな音がしました。
なんと、本当に太鼓が不安や恐怖を
感じていたように、太鼓が破けて
しまったのです。
太鼓は、痛みに耐えながら、
こう思いました。
「あー、やっぱり破けた」
「不安に思っていた通りのことが起きたんだ」
太鼓は、さらに自分が捨てられるのではないかとか、
さらなる不安や恐怖を募らせていたのです。
でも、周囲の反応は違いました。
太鼓を叩いている人も、温泉旅館の
お客さんも、この太鼓の音を楽しみに
していたのです。
壊れた太鼓を目にしながら、人々は
残念そうにしました。
「太鼓の音で、この空間はいつも浄化されたようだったよ」
「太鼓の音を聞くと、自分の悩みが吹き飛ぶような感じがしていたよ」
「太鼓を叩くと、背筋がしゃんとして、やる気に満ち溢れるんだ」
太鼓を楽しみにしていた人たちの
言葉は止まりません。
壊れた太鼓は、その言葉を
しっかりと聞いていたのです。
「え、そうだったの?」
「僕のことを壊そうと思っていたのではないんだ・・・」
太鼓は、自分にかけてくれた言葉を
ひとつひとつ思い返します。
「僕は、本当は必要とされていたんだ」
そうして、ひとつの大きな気づきを
得ることになりました。
「もう、不安や恐怖をベースに生きる世界から卒業していいんだ」
「これからは、思い切り自分らしく生きていけばいいんだ」
太鼓は、この日を境に自分の生き方を
変えていくことになったのです。
すると、とんとん拍子に、太鼓の修理が
進み、再び、温泉旅館でお客さんが
来るたびに叩かれるようになりました。
以前と違うのは、太鼓が歓びをベースに
叩かれるようになったことです。
「太鼓の音、さらに良くなったね」
「この音を聞くと、運が良くなる気がするよ」
温泉旅行で訪れた人たちの
感想も上々でした。
太鼓は、照れ臭そうに、その言葉を
聞いていました。
「そうでしょう」
「僕の音いいでしょう?」
「そりゃあそうさ」
「みんなの幸せを願って、音を出しているからね」
太鼓は、なんだかそう言い終わると
得意気な表情を浮かべます。
だからこそ、太鼓は、自分が不安や恐怖を
ベースに生きて、壊れたあの日のことを
大切な一日と位置付けていました。
「あのとき、思い切り叩いて、僕を
壊して、生き方を変えるきっかけを
作ってくれて、ありがとう」
太鼓の気持ちは、感謝で溢れているのです。
【終わり】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。