皆さま
自己啓発本や心理的な本を読むと
「人に与える大切さ」を書かれている
ことがあったりします。
すると、何かを与えようと頑張って
しまうこともあるわけです。
それが悪いわけではありません。
与える前に、自分を満たすことも大切です。
でも、本当は、知らず知らずのうちに
生きている私たちは与えている存在だと
思います。
それに気が付くことも大切なことです。
そんなことをお花がそっと咲いて教えてくれました。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
-----------------------------------------------------------------------------
「あなたは人に何かを与えていると知る物語」
~静かに咲くお花がそっと気が付く~
今日も人知れず誰にも気が付かれないほど、
静かにそっと咲く花がありました。
花は咲いたばかりです。
花は、初めて外の世界を見ることが
できました。
そこには、青い空や白い雲、自分より
大きな木々、小さな草花、そして大空を
羽ばたく鳥たち、身近なところでは
花の近くを飛ぶ昆虫などもいるのです。
花は、ただただそこに咲いています。
それはそれでいいはずです。
でも、花はなにか自分自身に違和感を
感じていました。
花の元には、頻繁に蜂がやってきます。
そのおかげで受粉して、花は実をつけたり、
さらなる成長を遂げることができるのです。
花はそのことをなんとなく知っていました。
でも、同時に、ずっと感じていた違和感の
正体がわかったような気がしたのです。
「私は、ただ生きているだけで、蜂に与えてもらっているだけで、何も与えていない」
蜂は自分で動いて、花たちを
受粉させてくれるのです。
花は、それをただただしてもらうだけの
自分自身に、違和感を覚えていました。
「私は何も与えていない」
「ただただ、もらっているだけだ」
そんな風に違和感の正体を見極めた
花は、そんな思いを抱えながら咲き続けます。
その花自身の違和感に、密接な関係を
持っている蜂が気が付かないはずが
ありませんでした。
「お花さん、近頃元気がないようだね」
「どうしたの?」
蜂は、花の中で羽を休めながら、
そう花に問いかけるのです。
花は、当たり前のように蜂に答えました。
「私は、蜂さんのように、何かを誰かに与える存在じゃないの」
「そのことにとても違和感を感じるようになったのよ」
蜂は、とても驚きました。
「え!」
「花さん、何を言っているの?」
「あなたが、ただ咲いてくれているだけで」
「ただただ咲いているだけで、多くの生き物が与えられているんだよ」
「ただただ咲いているだけでいい」
花は、静かに驚き返します。
「え、はい?」
「ただ、咲いているだけで・・・いい」
蜂は、当たり前のように花に
お話しします。
「あなたの出してくれる蜜、僕たち蜂が生きるために、なくてはならないんだよ」
「あなた、花がただただ咲いているだけで、与えてくれているんだよ」
花は、ようやく観念したかのように、
すこしだけ花を上向きに整えて、
考えたようです。
「私が、与えている」
「生きて、咲いているだけで、与えている」
「そうだったの」
「それでいいの」
「それでいいんだよ」
蜂は、沢山の蜜を吸って、
花から飛び立ってゆきます。
花は、それから静かに咲きながら
静かに心で向き合いました。
「私は与えている」
「決して奪う存在ではない」
「これでいいんだ」
「ただ、咲き続ければ、咲き誇ればいいんだ」
花は、大きなことに気が付いたのです。
もう、誰かに何を言われようが、
何をされようが、関係がありません。
花は花としてあり続けるだけで
あまりにも大きな価値がすでにあるのです。
それから、少し元気のなさそうな花でしたが、
不思議と空を見上げるように、シャキンと
咲きなおしたかのようでした。
凛としているのです。
花は、静かに、咲き続けながら、
大切なことを教えてくれた蜂に
大いに感謝しました。
「ありがとう」
「いつでも蜜を吸いに来てね」
今日も花の回りには多くの
蜂が飛び回り、花の写真を撮るのを
楽しむ人たちで溢れかえります。
【終わり】
-------------------------------------------------------------------
執筆依頼なども承っております。
-------------------------------------------------------------------
この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。