皆さま
人間は、やっぱり完璧を目指して
生きた方がいいのでしょうか?
そのひとつの答えを雪のおだんごが、
教えてくれました。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「人間は完璧を目指す必要はないと気付く物語」
~雪のおだんごに泥が付く~
ある雪降る町に住む、まだまだ
小さな姉妹がいました。
姉妹は仲が良く、一緒に
遊ぶのです。
この日も寒く、雪が降っています。
姉妹は古く小さな家の窓から、
その様子を仲良く並んで見ていました。
そうして、姉妹は、外に出て
遊ぶことにします。
姉妹はたくさんのおもちゃを
持っているわけではありません。
こうして、雪の日だって、外で
遊びます。
今日は、雪のおだんごを作って、
おだんご屋さんごっこをして
遊ぶことにしました。
姉妹は、手をつないで、まだ新しく
白く綺麗な雪のある場所へと
かけてゆきます。
そうして、真っ白な雪のおだんごを
小さな手で握って、作ってゆきました。
小さなお団子と、もっと小さなお団子、
それは姉妹の手の大きさに比例して
いるのです。
そんな真っ白な雪のおだんごを
姉妹は次々と作ってゆきます。
いよいよ、たくさんできた雪のおだんごを
並べてゆきました。
小さな手の姉妹が作った、真っ白な
雪のおだんごは、一見完璧な産物です。
姉妹は、雪のおだんごを並べて、
売れるといいなあと、ワクワクウキウキ
した表情を浮かべていました。
「売れるといいなあ」
「お客さん来るかなあ」
姉妹の想いはとても純粋です。
でも、なかなかお客さんはやってきません。
その時でした、猛スピードで雪の中を
走ってくる車が姉妹の前を通り過ぎて
ゆきました。
車のタイヤが雪の下にあった、土までも
掘り起こしてきたようです。
多くの泥が辺りに飛び散りました。
姉妹の雪のおだんご屋さんにも、
泥が直撃します。
真っ白な雪のおだんごに、茶色い
泥がかかってしまいました。
姉妹も頭から泥をかぶって
しまったのです。
「あー!」
「私たちの雪のおだんごが!」
「真っ黒になってる!」
姉妹の妹の方は、せっかく作った
白い雪のおだんごが泥で汚れる姿を見て、
何も言うことができず、そのままシクシクと
泣いてしまいました。
姉は、妹を泥だらけになった姿で、
慰めます。
でも、妹は泣き止みませんでした。
とても悲しんでいる妹を見て、
姉もまだ小さいですが、なんだか
とても悲しくなってきたのです。
「せっかく一生懸命作ったのにね」
姉は、妹の頭を優しく撫でて
あげます。
妹は、シクシク泣き続けていました。
姉は、泥で汚れたゆきのおだんごを
手に取って、汚れを落とそうとします。
でも、なかなか汚れは落ちませんでした。
そこで、姉は思いついたのです。
「おはぎ」
泥で汚れた雪のおだんごを手に取り、
大きな声で叫びました。
「雪で作ったおはぎはいりませんか?」
シクシク泣いていた妹が、姉に
目線をやります。
「おはぎ?」
「ほら、これはおはぎよ」
「おばあちゃんが作ってくれたことがあるでしょう?」
「うん、おはぎ好き」
妹が泣き止みました。
妹も姉と一緒に大きな声を出しました。
「雪のおはぎありますよー!」
すると、雪のおだんご屋さんの前に
老夫婦が歩いてやってきます。
なんと、老夫婦がおだんご、いえ、
おはぎを買っていってくれました。
雪のおはぎの代わりに老夫婦は、
毛糸の手袋を姉妹に渡していったのです。
老夫婦は去り際に、姉妹に声を掛けました。
「お姉ちゃん、えらかったね~」
「あなたも泣き止んでえらかったよ~」
そう、最初は、姉妹は真っ白いそれこそ
完璧な雪のおだんごに魅力を感じていたのです。
でも、一見不運なことから泥で真っ白な雪の
おだんごが汚れてしまいました。
それは、もう汚れてしまって、完璧な
おだんごとは言えませんでした。
でも、それをそのままその良さを活かして
楽しく売ってみたのです。
見事に、それを見ていた人たちがいて、
雪のおだんご、いえ、おはぎは売れて
いきました。
姉妹は、もらったばかりの毛糸の手袋を
はめて、顔を見合わせています。
「あったかいね」
「うん」
「雪のおだんごは残念だったけど、おはぎが作れてよかったね」
「うん、またおはぎ作りたい」
姉妹は、うれしそうに楽しそうに、
笑い合っていました。
【終わり】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。