皆さま
目の前に嫌な人がよく
現れるなあと思っている方へ、
朗報です。
果物が熟しながら教えてくれました。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
-----------------------------------------------------------------------------
「嫌な人は、自分を大切にするチャンスを与えてくれる物語」
~果物が熟す~
ある木に、まだ熟していない
果物がなっていました。
果物は今日も憂鬱な気持ちで
朝を迎えます。
それは、この木を育てている
人が来るからです。
その人は、木を見て、果物を見ます。
まだ青みがかった果物に対して、
こう言うのです。
「早く熟せ」
「早く熟すのだ」
「早く早く」
「もっと早く」
果物は、こう言われるのが
とても嫌いでした。
この人のことも、水をくれたり
栄養をくれたりと、お世話には
なっているので、ありがたくも
思っています。
でも、こうして急かされたり、
焦らされることが、果物にとって
とても嫌だったのです。
今日もそうして、まだ青みがかった
果物に、この人は、「早くしろー」
「早く熟せー」と繰り返し果物に
話しかけ続けました。
「あー、本当にこの人が嫌だな」
「なんでそんなに焦らせるんだ」
「放っておいてくれよ」
果物は、そう感じています。
でも、同じ木になっている先に
熟した果物は知っていました。
この熟していない果物は、自分を
大切にしていないと気が付いているのです。
もう熟した果物が、まだ熟していない果物に
語り掛けます。
「君は、まだ熟していないね」
「焦らせないでくれよ」
「焦らせる気なんてないさ」
「じゃあ、なんでそんなことを?」
「君は、いつもあの人に焦らされる」
「とても嫌な気分になるよ」
「何でだと思う?」
「それは、僕が熟さないからだろう?」
「君自身が、早く熟さなきゃいけないって焦っているからさ」
「え、僕は、別に焦ってなんかないさ・・・」
「早く熟して、誰かに美味しく食べてもらえなかったら、自分に価値がないとまで思っている」
「え、え、そんな」
「だから、ああして焦らせる人が現れて、君に気づかせようとしているんだよ」
「何をだい?」
「もっと、自分を大切にしなさいって」
「自分を大切に・・・」
「早く熟そうが、ゆっくり熟そうが君の価値は変わらない」
「早く熟した方がいいのでは・・・」
「それを教えてくれているんだよ」
「ただの嫌な人だと思っていた」
「目の前に現れる嫌な人は、必ず何かを教えてくれる」
「そ、そうなんだ」
「嫌だと思うポイントには、必ず自分の思い込みが反映されるからね」
「知らなかった・・・」
「もう一度言うよ、君は熟そうが熟さなかろうが価値ある果物なんだよ」
「あ、ありがとう」「うれしいよ」
まだ熟していない果物は、
まさに目からウロコでした。
そうして、焦らせるあの人を見てみると
とても視点が変わったのです。
「あー、この人は僕に気が付かせようとしてくれているんだな」
そうすると、まだ熟していない果物は
一気にストレスが減りました。
そんな風に気が付いたら、焦らせるあの人も
なんだか、いろいろ言ってこなくもなるのです。
果物は肩の力がスーッと抜けて
いきます。
不思議なことに、今までなかなか
熟さなかった自分の身体が、少しずつ
熟し始めたのです。
「熟そうが、熟さなかろうが、僕には価値がある」
それからしばらくして、果物は
とても綺麗な色を出して、熟しました。
そうして、美味しく、食べられて
いきます。
「僕に価値があること、自分を大切にすることを教えてくれてありがとう」
【終わり】
-------------------------------------------------------------------
執筆依頼なども承っております。
-------------------------------------------------------------------
この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。