皆さま
今日から2月ですね。
人と同じように生きることが、
なんだか美徳だったとされる
こともありました。
でも、違っていてもいいですよね。
実はそこがとんでもない魅力
なんだよ、という物語です。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
-----------------------------------------------------------------------------
「人と違うところが実は魅力だと気が付く物語」
~黒豆に混ざる大豆の生き様~
沢山の黒豆の中に
一粒だけ大豆が一緒に
暮らしていました。
見た目や大きさが違うのはもちろん、
それはそれは性格だって違いました。
黒豆は競争することも好きだし、
そうやって、自分たちを成長
させてきたと思っています。
でも、大豆は違いました。
大豆は優しさを大切に
しているのです。
ひょんなことから黒豆の
集団で暮らすことになりましたが、
その本質はなかなか変わり様が
ありませんでした。
時には、生きにくく感じて、
黒豆の真似をして、大豆も
生きようとしたこともあります。
でも、やっぱりうまくいかないし、
大豆自身が辛い思いをするのです。
大豆は、自分が優しいことに
コンプレックスさえ持つようになりました。
それは、競争心の高い黒豆から
強い口調で声を掛けられることも
多かったからです。
「もっと大豆くんもガツガツしないと」
「そんなんじゃあ、黒豆の世界ではやっていけないよ」
「一番を目指してみなさい」
大豆は、自分が優しいことで
こんな風に黒豆のように生きられないことを
密かに責めているのです。
そんなある日、小さなまだ子どもの
黒豆がいました。
子どもの黒豆は、どうやら怪我を
してしまい、動けずにいるのです。
競争心の高い、黒豆の親は、
「そんなことでどうする」
「気持ちで治せ」
なんていうことを子どもの
黒豆によかれと思って
声をかけます。
でも、子どもの黒豆は、きっと
大切な親からそう言われて、
泣いてしまいました。
「泣くな!」
黒豆の親は続けます。
そうして、黒豆の親は
子どもの黒豆を置いて、
出かけてしまいました。
子どもの黒豆は、その後も
しばらく静かに泣いています。
そこへ、大豆がやってきました。
大豆は、やっぱり優しいのです。
泣いていて、厳しい言葉をかけられている
子どもの黒豆を放っておけませんでした。
「大丈夫?」
「怪我をしているんだね?」
「治るまでゆっくりしていていいんだよ」
大豆は本来の持ち味である
優しさで子どもの黒豆に寄り添いました。
黒豆の子どもは、なんだか気持ちが
楽になってきて、あたたかな気持ちを
思い出しているようです。
黒豆の子どもはゆっくりと泣き止みます。
大豆より少しだけ小さな子どもの黒豆は、
「ありがとう」
「大豆さんは優しいね」
大豆は優しいと聞いて少し、
ビクッとしましたが、子どもの黒豆は
優しい表情が戻ってきている
ようでした。
それは大豆が、「優しいまんまでいいんだよ」
そう言われているように感じたのです。
子どもの黒豆は、とても安心したのか
スヤスヤと眠り始めました。
その様子を見た大豆は、
「あー、よかったね」と
心から思います。
大豆は黒豆の親が帰ってくる前に、
そっとその場を離れました。
すると、不思議なことですが、子どもの
黒豆は優しさの大切さを知ったからか、
他の黒豆にも優しく接するようになります。
それをされた他の黒豆たちも少しずつ
優しくなっていくのです。
大豆が隠そうとしていた優しさが、
競争心の高い黒豆の世界で、じっくりと
広がろうとしていました。
そのうちに巡り巡って、大豆に
厳しい言葉をかけ続けていた
黒豆も、大豆に対して優しい態度に
変わっていったのです。
「優しくてよかったんだ」
「僕の優しさは、僕の魅力だったんだ」
そんなことを身を持って
大豆は体験することができました。
「優しさ」が広がった黒豆の世界は、
今までよりも奥行きのある、なんだか
素敵な世界へと変化していくのです。
それは、他の豆と違うと言われてきた
大豆が本来の魅力を発揮したからこそ
でした。
こうして、大豆は、黒豆の世界でも
充分に大切にされて生きていきます。
【終わり】
-------------------------------------------------------------------
執筆依頼なども承っております。
-------------------------------------------------------------------
この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。