皆さま
「人と違うこと」
「人と変わっていること」
このことは、どうしても
どこかで良くないことと
されることが多かったように
感じています。
でも、これからは、こうした
人と違う独自性のある人が
自然と活躍しやすい世の中に
なっていくのだと思います。
そう、信じています。
そんなことをネズミとチーズの
世界が私たちに伝えてくれました。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「独自性を大切にしてみたくなる物語」
~ネズミとチーズの世界~
どこかの世界にネズミの世界が
存在していました。
ネズミは仕事もするし、食事もするし
家族を作ったりもします。
この世界でのネズミの主食は
チーズでした。
だから、多くの仕事はチーズを作ったり、
チーズを運んだりする仕事ばかり
です。
そうして、報酬だってチーズです。
この世界でのネズミは、チーズばかりを
食べているからです。
ここにもチーズを作る工場で働く
ネズミがいました。
このネズミはベルトコンベアで流れてくる
チーズの検品を行っています。
朝から晩まで行い、不適格な
チーズを取り除くのです。
ネズミみんなが食べるチーズなので、
とても重要な仕事ともいえます。
だから、このネズミも最初は、
とてもやりがいを感じて始めたのです。
でも、来る日も来る日もチーズの
検査をしていると、ネズミ、どこかで
違和感を感じるようになりました。
この工場で働く他のネズミに
仕事の話しを聞いても、特に違和感を
感じているネズミはいそうにありません。
だから、このネズミは、きっと自分が
変なんだろう?少し時間が経てば
元に戻るだろう、そう考えるよう
努めました。
そうはいっても、その違和感は
なくならなかったのです。
チーズはどのネズミにとっても
なくてはならいものでした。
だからこそ、安易に
「もう、チーズの検査をしたくない」
なんてネズミも言えなかったのです。
そう、ネズミは実は、チーズのことは
大事だし大好きだけど、もっと
好きなことがありました。
それが絵を描くことでした。
ベルトコンベアを流れてくるチーズを
見る度に他のネズミたちは、食べたいとか
家族に持って帰りたいとか、そう
思っているようです。
でも、このネズミは、流れてくる
チーズの絵を描きたくて仕方ないのです。
「絵描き」
「画家」
という職業や趣味、言葉さえ
存在しないネズミの世界です。
でも、このネズミはたしかにこの
チーズの絵を描きたいのでした。
だから、チーズの検査が暇なとき、
ゆっくりと流れてくるチーズの検査を
しつつ、チーズの絵を描くように
なりました。
でも、そのことはどのネズミにも
秘密にしているのです。
それは、仕事をさぼっていると
思われることより、なにより、
「チーズの絵を描いてどうするの?」と
冷めた視線を送られることが、この
ネズミにとっては怖かったのです。
ネズミはこっそりとチーズの絵を
書くことを続けます。
最初は、それで満足していましたが、
どうしても他のネズミに見てもらい
たくなったのです。
ネズミは、こっそりと自分のチーズの絵を
ベルトコンベアに流してみました。
すると、他のネズミたちが、そのチーズの絵に
集まっていくのです。
「あれ、なんだこれは?」
「本物のチーズか?」
「あれ、平面だぞ」
「本物みたいだ」
「本物のチーズより美味しそうに見えるな」
意外や意外、他のネズミたちは
仕事の手を止めて、チーズの絵に
群がっています。
その意外な感想が聞こえてきて、
絵を描いたネズミは、なんだか
うれしくなっていました。
「僕が描いたんだよ」と言いたかったですが、
グッとこらえます。
その絵は、あれよあれよと
チーズ工場の工場長のところまで
いきました。
工場長は、
「この絵を描いたネズミを探しなさい」と
言ったのです。
絵を描いたネズミは、ゾクッと
しました。
勤務中に絵を描いていたことを
叱られると思ったからです。
そうして、あっという間に、絵を描いた
ネズミに工場長から呼び出しが
かかりました。
やはり、このネズミが何かを描いていたという
情報が他の社員ネズミから入ってきたのです。
ネズミは、恐る恐る工場長のもとを
訪れました。
「すみませんでした!」
絵を描いたネズミは、いきなり
謝罪します。
工場長は驚いています。
「おい、君、どうした、いきなり謝るなんて」
「え、いや、絵を描いてしまったので・・・」
「これは、素晴らしいよ」
「え?」
「うちのチーズのパッケージに、この絵を使わせて欲しい」
「え、え?」
あれよあれよとネズミが描いたチーズの絵は、
パッケージとして多くのネズミの目に止まることに
なったのです。
そうして、このネズミはチーズの検査の仕事から
こうしたイラストを描く仕事をし始めることになりました。
ネズミの絵を描くという独自性が
認められたのです。
今までになかった仕事でした。
でも、ネズミはやりたいことを
やってみて、好きだと思うことを
どうしてもやり続けて、独自性を
持ち続けて、心から歓べる仕事に
就くことができたのです。
そのことから、他のチーズを作ることが
仕事だと思っていたネズミたちにも
大いに影響を与えました。
ネズミは、自分の好きなことを
やり続けてよかったと、あのとき、
みんながチーズを作っているからと
合わせてチーズの検査の仕事をし続けなくて
よかったと思いました。
そうして、ネズミは自分の独自性を
貫いた自分自身に感謝をします。
「諦めずに、怖くてもやり続けてよかったね」
「ありがとう」
【終わり】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。