皆さま
こんなはずじゃなかったのにな、
そんな風に大人になると自分の
人生がまるで間違っていたかのように
感じてしまうことがあります。
でも、無駄な人生などひとつもありません。
必ずやつながっていると思います。
そんなことをお米が教えてくれました。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「自分の生きてきた経験を振り返る物語」
~お米が辿る運命~
田んぼに稲穂がなっています。
そこにはたわわに実った米が、
キラキラと光り輝いていました。
お米は、これから出荷されて
暖かい食卓に並ぶことを
心待ちにしているのです。
お米は、そんな自分が生きてきた
過去を振り返ります。
種だった頃、農夫の分厚い
手のひらで、希望に満ち溢れて
いたのです。
芽を出してみて、周囲を見渡すと
たくさんの仲間が、他の生き物に
食べられてその命を終えていました。
それを目の当たりにして、お米の芽は、
哀しみに暮れたこともあります。
それでも、お米になって食卓に並ぶ
ことが叶わなかった仲間の分まで
生きるぞって、気持ちを切り替えて
成長していったのです。
風の強い日も、雨で田んぼが水浸しに
なった日も、日照りで枯れそうになった日々も
お米は諦めずに、ただただ生き続けました。
他の生き物たちに、お米は
「どうしてそんなにがんばるんだい?」と
聞かれたこともあります。
「暖かな食卓にふっくらご飯として並びたい、それだけさ」
自由に動き回れる他の生き物からすると、
お米のことを不思議に思いました。
「よく、そんなにじっとしれいられるな」
それでも、お米は日々を生き抜きます。
そうして、いよいよ収穫の時でした。
農夫が、たわわに実った稲穂を
さらに分厚くなったてのひらで、
その重さを確かめます。
お米は、とても懐かしい気持ちに
なりました。
そうして、いよいよこの時が来たのかと、
何かを締め直すような気持ちになります。
お米は、収穫されていきました。
その後、お米は、暖かな食卓に
並びませんでした。
そう、お米は、実は酒米だったのです。
その経験豊富なお米の経験は、
熟成という形で魅力を発揮することに
なりました。
お米は、最初に知ったとき、激しく
抵抗したのです。
「僕は、食卓に並ぶふっくらご飯になりたいんだ」
でも、お米は、自分で自分の生き方を
決めて生まれてきていました。
他のお米より、より深い経験をして、
深く熟成された日本酒の酒米として
生きることを・・・
深い味わいを出すためにも、このお米は
様々な一見苦労とも思える経験をする
必要があったのです。
お米は、酒米として必要な経験を
積んできました。
そのおかげで、しばらく経った後、
美味しい熟成された日本酒として
姿を変えました。
そうして、その日本酒は結局同じように
暖かな食卓に並べられることになります。
日本酒になったお米は、思います。
「あー、これはこれでいい米生だったなあ」
自分が飲まれて、「美味しい、美味しい」と
声が聞こえてきました。
「ありがとう」
お米は心から歓びを
感じるのです。
【終わり】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。