皆さま
いよいよ今年も終わって
いきますね。
お正月になったらお雑煮を
食べるのが楽しみです。
今回はお雑煮に欠かしたくない
三つ葉の物語です。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
-----------------------------------------------------------------------------
「自分がなんで生きているのか気になったら読む物語」
~お正月の三つ葉が教えてくれた~
「自分は何で生きているのだろう?」
そんな疑問がいつも湧いては、消え、
湧いても解決をせず、そんな女性が
いました。
女性は、仕事をしながらひとりで
住んでいるようです。
「自分は何で生きているのだろう?」
毎日好きでもない仕事をして、
会社では愛想良くして、遅くまで
残業をしたりして、休みの日は
疲れて眠り続けたりして、
いったい、何のために生きているのだろう?
女性は、答えの出ない疑問を
自分にいつまでも問いかけ続けて
いました。
そんな今日は、正月です。
女性は、実家に帰るでもなく、
どこかへ出かけるでもなく
ひとりで、いつものように朝を
迎えます。
ただひとつ違うことは、今日は
お雑煮を作って食べることです。
「あけましておめでとう」
女性はお雑煮にも聞こえないように、
小さな声で呟きました。
仕上げに、お雑煮に女性は三つ葉を
ふわっとかけます。
「いただきます」
そうして、女性がお椀に目を
やると、三つ葉と目が合ったような
気がしました。
三つ葉が話しているわけは
ないのですが、なぜだか女性には
何かが伝わってきたのです。
「僕は、ずっとこの日のために一年を過ごしています」
「本当は、もっと毎日のように人に食べてもらいたいけど」
「三つ葉として生きてきて、使われるのはいつもお正月のお雑煮です」
「だから、いったいなんのために生きているのだろう?って何度も思いました」
女性は、お雑煮のお椀を片手に、
じーっと三つ葉を見つめて、
その伝わってくるものを感じていました。
「それで、ずっと自分の生きる目的は何もないんだと、落ち込んでいたのです」
「でも、あるとき気が付いたのです」
「なんのために生きているかわからないってことは、なんのために生きるのかを知っているのだと」
「矛盾するようですけどね」
「例えば、もし人前で歌って人々を勇気づけたり元気づけたりしたいって、生きる目的を持っている人がいるとするでしょう?」
「そんな人がずっと、会社で誰かのサポートをするような、例えば事務のような仕事をしていたら、やっぱりそう思うかもしれません」
「歌っているときは楽しいんだけど、仕事をしていると自分が自分ではないようだなあって思ったり」
「いったいなんのために生きているのだろう?って」
「それは、自分が歌手として生きたいってどこかで知っているから、そんな風に疑問を持つわけです」
「だから、僕は三つ葉として生まれて、やっぱりいつもなんのために生きているのかわからなかったです」
「でも、ようやく気付いたのです」
「あー、自分は三つ葉としてお雑煮に彩を加える、素敵な食材なんだって」
「それに気が付くために、なんで生きているんだろう?って疑問が消えなかったんだって」
「結局、身近なところに転がっていたりしたわけです」
女性は、しばらく時間が止まったように
お雑煮の椀の中に浮かぶ三つ葉を
見つめていました。
そうして、ハッとしたように何かに
気が付いていったのです。
「私はなんのために生きているのだろう?」
そこから始まる人生の目的に
気が付く道、そう、別に目的は
特別なものとは限りません。
そもそも生きていることだって、
特別なのです。
女性は、言葉で説明することは
できそうにありませんでしたが、
何かを三つ葉から得たようでした。
【終わり】
-------------------------------------------------------------------
執筆依頼なども承っております。
-------------------------------------------------------------------
この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。