皆さま
自分の欠点だと思っていることって、
なかなか認めたくないですし、人に
触れられたくなかったりします。
でも、欠点だと思っていることも
自分自身のただの個性なのですよね。
それを認めていくとどうなるのでしょう?
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「自分の欠点を認めると、生きやすくなる物語」
~蟹の親子が魅せてくれる~
ある海の中に蟹の親子がありました。
この蟹の親子は、少し他の蟹たちと
見た目が違ったのです。
親子ともに、片方の爪がとても
大きく成長しているのです。
なので、一見とてもバランスが
悪くみえるのでした。
蟹の子どものほうは、そのことが
とても嫌だったのです。
どうにか、この大きく成長した
片方の爪が小さくなることを
願っていました。
友達には笑われている気がするし、
何より海の中を歩くときに、大きな
抵抗を受けてしまうのです。
蟹の親子は、事あるごとに
水流に身体をもっていかれて
しまいました。
だから、蟹の親も自分がこんなに
爪が大きくて、そのことで、子どもが
苦しむ姿を見て、自分を責めて
いたのです。
「私の爪が大きいばっかりに、子どもにまで遺伝してしまった・・・」
蟹の子どもも子どもで、自分の親の
爪が大きいことが、原因なのだと
親のことも心のどこかで責めていました。
そうして、子どもの蟹は、あるとき
友達だと思っていた他の蟹に、
片方の爪が大きいことを馬鹿に
されたと感じたのです。
そのことは、純粋でまだ小さな
子どもの蟹にとっては、とても
ショックでした。
普段はとても仲良くしていた
蟹のお友達だったからです。
その夜、子どもの蟹は、泣きました。
そうして、自分の大きくなった爪を
見て、石にぶつけて小さくしようと
しました。
「痛い!」
子どもの蟹はとても痛い思いを
したのです。
親の蟹は、その様子を静かに見守って
いました。
「私の爪はいいから、子どもの爪だけは小さくしてくれませんか」
親の蟹は、何者かにそうやって願いました。
でも、次の朝がやってきても、子どもの
蟹の爪は昨日と変わらず大きいままだったのです。
ある日のことでした。
蟹の親子がいつものように海底を
散歩していると、大きな音がしたのです。
遠くで何かが爆発したような音でした。
そこからの変化は、とても速かったのです。
どうやら海底の火山が爆発したようで、
遠く離れた蟹の親子の海底まで、音が
してきたのです。
そんなことを考えている間もなく、
蟹の親子目掛けて大きな石が
飛んできました。
親の蟹は咄嗟に、大きくなった爪を
蟹の子どもの前に覆いかぶさるように
出したのです。
すると、その石は丁度、親の蟹が出した
大きな爪に当たりました。
すごく大きな音がしました。
海中もその衝撃で、一瞬にして
濁っているようです。
しばらくすると、海中の水が
元の様に澄んできます。
片方の爪が大きい親子の
姿が露わになりました。
蟹の子どもは、何が起きたのだろうという
状態で、怯えているようでしたが、
無事のようです。
しかし、親の蟹は、大きな爪に石が
当たった衝撃で、爪の甲羅が割れて
しまっていました。
でも、親の蟹も生きています。
そうして、親子はお互いの無事を
確認しました。
そのとき、親の蟹は、自分の爪が
大きくてよかったと心の底から
感じたのです。
同時に、蟹の子どもも自分の親の
優しさ、そして爪が大きいことに感謝しました。
そうすると、不思議なことに親の蟹の
割れた爪の甲羅は徐々に良くなって
いったのです。
子どもの蟹も、自分の爪が大きいことを
心から認めていきました。
すると、もう周囲からは馬鹿にされることも
なくなったのです。
子どもの蟹は、思いました。
「よーし、何かがあったら、僕もこの大きな爪で誰かを守るぞ」
【終わり】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。