皆さま

 

誰にでも、この世の中をどうやって

生きていけばいいのか、何をすれば

自分が幸せになっていけるのか、

それら全てを知っている自分もいます。

 

詳しくは本文をお読みください。

 

本日もよろしくお願いします。

 

【自己紹介】

幸せな人生に転換できた僕の物語

 

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「誰しも叡智を備えた本当の自分がいると知る物語」

~最後の焚火で観えた~

 

登山道からずっと奥まった山の中に

ひとりの男性が佇んでいました。

 

男性は、見るからに疲れており、

背骨もグイっと曲がっています。

 

男性は、年齢は50歳を過ぎて

60歳には届かないくらいに見えました。

 

でも、表情なども疲れていたため実際の

年齢よりももっと上に見えたのかも

しれません。

 

男性は、この人生、様々な経験をして

きました。

 

幼少期はいじめられたり、両親の不仲、

結婚と家族との壮絶な別れ、仕事での

リストラ、借金の肩代わり、本当に

振り返ってみると多くの出来事が

この男性には起きたのです。

 

男性はそんな押し寄せる現実に

とっても疲れていました。

 

どうしても、もううまく行く気が

しなくなっていたのです。

 

男性には、唯一の趣味がありました。

それが、登山でした。

 

どんなときも山は美しく、荘厳で

揺ら揺らしている心がスッと

軸を取り戻すような感覚を持てたのです。

 

だから、男性は人生で大きな出来事、

小さな出来事が起きたら、決まって

登山に出かけました。

 

この日も登山に出掛けたのですが、

いつもならそんなことは起こらない

はずでしたが、この日はなぜか

自分が意図したわけではないと

信じたいのですが、登山道から

外れてしまったのです。

 

陽が落ちていくため、周囲は段々と

暗くなっていきました。

 

それでも、なぜだか男性は慌てる

様子もありません。

 

なんだか心配になってしまいますが、

男性は、暗くなってくると、慣れた

手つきで焚火をたきました。

 

メラメラと揺ら揺らと炎が、存在感を

増していきます。

 

そのため、暗闇で見えなかったはずの

景色も見えるようになっていったのです。

 

男性は、曲がった背中を、まるで炎で

曲げられたかのように炎の近くに

いました。

 

ジーっと炎のその奥を見ているかの

ようでした。

 

男性は、はっきりと言ってしまえば

生きる気力というものが、ずいぶんと

低下してしまっていたようです。

 

男性は、揺ら揺らと漂う炎の揺れに

ゆったりと乗りこなしているかの

ようでした。

 

「もしかしたら、最後の焚火になるかもしれない」

 

そんな風に男性は、考えていました。

でも、なんだかその揺れがとても

男性を気持ちよくもさせていたのです。

 

すると、ゆっくりとですが、炎のその

奥なのか、裏っ側なのか、何かが

ぼんやりとその姿を現そうとしているのです。

 

そう、ゆったりと、その存在、

男性はそれを凝視していました。

 

それは、紛れもなく自分自身の

姿でした。

 

その姿は、決して今炎の奥を背中を

曲げて、疲れ切った表情で見ている

男性のものとは、思えません。

 

背筋はしゃんと伸びて、どこか高貴で、

高尚ささえ感じさせる男性自身でした。

 

それは、どんな恐れや不安、そんな

ネガティブなものを寄せ付けないような、

むしろ吸収してしまうかのような、

そんなオーラを纏っているようにさえ

感じるのです。

 

だから、それを凝視している男性は、

その炎に映るものは、自分自身だと

確信しているものの、それが、自分自身だとは、

到底思えないという、矛盾を大いに感じていました。

 

その炎に映った男性は、強く

弱った男性に想いを寄せてゆきます。

 

その瞬間、一気に炎が高く強く燃え上がります。

 

「幸せになりたくないのか!」

「僕は幸せになれる存在だ!」

「忘れたのか!」

「絶対に幸せになるって、決めてきたんだろ!」

「幸せになる!絶対に幸せになる!」

 

炎に映る本当の自分とも言える男性は、

そのように、強く心の底から、弱り切った

男性に言葉ではなく、想いを発しました。

 

弱り切っていた男性は、お腹の下のあたりが

震えてくるような、力が湧いてくるような感覚を

確かに感じています。

 

まるで、この炎にエネルギーを充填されている

かのように、男性は微動だにせず、力を

蓄えているかのようでした。

 

炎に映る本当の自分とも言える男性は、

一言も発することはありませんでしたが、

弱り切った男性に伝えたいことは、伝えることが

できたようでした。

 

それを感じ取ると、炎に映る男性は、ゆっくりと

姿を消してゆきました。

 

そうして、その場には、先ほどまで弱り切っていた

男性と、最後だと思っていた焚火の炎が揺ら揺らと

燃えています。

 

男性は、背中が曲がっていたはずですが、

先ほどよりは、ずっとしゃんとして、背中が

伸びていました。

 

弱り切っていた疲れた表情も、徐々に、

生気を取り戻しているかのようです。

 

男性は、暗くなった夜空を見上げて、

大きく息を吐きました。

 

「絶対に幸せになってやる!」

 

そう言って、焚火を消し、正規の

登山道へと歩を進めてゆくのでした。

 

【終わり】

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この物語を読んで何か一つでも

感じていただけたら嬉しく思います。

 

想いを乗せて書いています。

 

皆さまよろしくお願いいたします。