皆さま

 

目の前に起きる出来事、一見

嫌なことだったり、ネガティブな感情を

感じることが起きることもあります。

 

でも、それが必要なだけで、

それによって様々な気づきがあり、

結果幸せになるためだったんだと

思えると人生は楽しく感じることができます。

 

詳しくは本文をお読みください。

 

本日もよろしくお願いします。

 

【自己紹介】

幸せな人生に転換できた僕の物語

 

-----------------------------------------------------------------------------

 

「目の前の出来事は幸せになるために起きていると自覚する物語」

~いつまでも買われない弁当~

 

お弁当屋さんにいろいろなお弁当が

並んでいました。

 

和食、中華、洋食、様々な

種類のお弁当がそこにあります。

 

その中でも人気のある幕の内弁当が、

多くの場所を占めていました。

 

ひとつの幕の内弁当も、

「今日もすぐに売れていくのだ」と

意気込んでいます。

 

やっぱり人気の幕の内弁当、

次々に売り場から消え去っていきました。

 

ひとつの幕の内弁当は、どんどんと

仲間が売れていくのを最初は

余裕を持って送り出していました。

 

でも、とうとう、幕の内弁当で

残ったのは自分だけです。

 

他の洋風の弁当や中華弁当も

徐々に売れていきました。

 

この幕の内弁当は焦ってきます。

 

「このまま売れないのか」

「なぜ、自分だけ売れないんだ」

 

幕の内弁当は焦りました。

早く売れるように、お客さんが

来るたびに、目立とうとします。

 

それで、手が伸びてはくるのですが、

寸前で他の弁当が買われていくのです。

 

「なんで、こんなことに」

 

この幕の内弁当は、目の前の出来事を

受け入れられずにいました。

 

幕の内弁当は、このお店でナンバーワンの

売り上げを誇る人気商品だからです。

 

いつも幕の内弁当はそのことに

誇りをもっていました。

 

もう、いよいよお店も閉店時間が

近づいてきています。

 

幕の内弁当はポツンと残っていました。

 

もう、諦めかけています。

 

いよいよ、自分に半額のシールが

貼られることに、不快感を隠せずに

いました。

 

「この僕が、半額シールを貼られるなんて・・・」

 

そうして、この幕の内弁当に

半額シールが貼られて間もなく、

大きな手が伸びてきます。

 

それは笑顔が素敵なサラリーマンでした。

見るからに優しそうな人です。

 

その表情から、よっぽど幕の内弁当を

手に入れられて、自分が幸運だったと

感じているようでした。

 

そうして、その男性はレジで

小銭をパラパラと財布の奥から

一枚ずつ丁寧に出して、お会計を

しています。

 

幕の内弁当は、半額シールを貼られて

恥ずかしい思いをして、最後にこの

男性に食べられていくことになったのです。

 

少し複雑な思いを幕の内弁当は

感じていました。

 

男性は幕の内弁当を片手に、

どんどんとひとけのない路地へと

入っていきます。

 

ある場所で男性は足を止めました。

幕の内弁当もここはどこだろうと、

上を見上げます。

 

見るからに古いアパートでした。

どうやら男性はここに住んでいるようです。

 

幕の内弁当はガッカリしました。

半額シールも貼られて、挙句

こんなに古いアパートに連れてこられたのです。

 

でも、幕の内弁当はこんな風に感じたことを

この後とても後悔することになります。

 

男性が家に入っていくと、小さい子ども

二人が「父ちゃんお帰り」と言って、

玄関でその男性を歓迎していました。

 

男性は二人の子どものお父さんの

ようです。

 

二人の子どもと会えた男性は、とても

嬉しそうでした。

 

毎日会っているのかもしれませんが、

その瞬間を喜んでさえいるようです。

 

それは、子どもたちの嬉しそうな

表情を見れば一目瞭然でした。

 

三人で家の中に入っていきます。

小さなテーブルの上に男性は、

幕の内弁当を置きました。

 

テーブルの近くには、まだ若そうな大人の

女性の写真が飾ってある仏壇があります。

 

写真の女性は、三人をどこか

見守るかのような暖かな表情を

浮かべていました。

 

「父ちゃん、おなかすいたよ」

 

二人の子どものうちの一人が

男性に向かって言いました。

 

「そうだよな、待たせたね」

 

男性はそう言うと、テーブルに置いた

半額シールが貼られた幕の内弁当を

袋から取り出しました。

 

「よーく見てごらん」

 

男性は、二人の子どもたちに幕の内弁当を

見せています。

 

すると、二人とも気が付いたようです。

 

「あ!幕の内弁当だ!」

「やったー!幕の内弁当!」

 

二人の子どもはとても喜んでいました。

 

幕の内弁当は、なんだかドキドキ

してきています。

 

なんだか思っていた展開とは違ったようです。

 

そうして、この幕の内弁当は、二人の

子どもたちに仲良く食べられていきました。

 

でも、ひとつだけあったエビフライは、

子どもたちが、若い女性の写真が飾られる

仏壇に「母ちゃんにあげるんだ」と言って、

置かれています。

 

男性は、経済的に余裕がありませんでした。

でも、家族の思い出でもあるこの幕の内弁当を

たまに食べさせてあげることが、楽しみだったのです。

 

幕の内弁当は、なんだか暖かな

ほっこりとした気持ちになりました。

 

「あー、幕の内弁当として生まれてきて良かった」

 

幕の内弁当は、食べられていきながら、

自分が半額シールを貼られて惨めな思いをしたこと、

恥ずかしいと感じたこと、そんな風に思っていたことを

後悔しました。

 

自分が全然売れなかったからこそ、

こんなにも素敵な家族に食べてもらう

ことができたのです。

 

きっと、自分に半額シールが貼られなけらば

この男性に買われることもなかったんだと

理解することができました。

 

目の間に起きる出来事は、一見、

ネガティブに感じることもあります。

 

でも、必要だからこそ、体験したいことが

あるからこそ、そういうことが起きるのです。

 

それを幕の内弁当は、身を持って

体験しました。

 

幕の内弁当は、今日起きたことに

全てに感謝を捧げるのです。

 

「ありがとう」

 

幸せそうな男性と二人の子どもたち、

それを笑顔で見守る写真の女性、

ちょうどその真ん中に空っぽの

幕の内弁当の容器が置かれていました。

 

【終わり】

------------------------------------------------------------------- 

執筆依頼なども承っております。

お問い合わせ・ご質問はこちらからどうぞ

------------------------------------------------------------------- 

この物語を読んで何か一つでも

感じていただけたら嬉しく思います。

 

想いを乗せて書いています。

 

皆さまよろしくお願いいたします。