皆さま

 

今現在、いろいろと辛いことも

ある人もいるかと思います。

 

ネガティブな感情で、苦しいなあと

感じているひともいると思います。

 

でも、やってみたいと思う人は

ぜひ探ってみて欲しいのです。

 

「愛されていた微かな記憶を」

 

それを知ることができると、

生きる力が湧いてくることと思います。

 

詳しくは本文をお読みください。

 

本日もよろしくお願いします。

 

伊豆で撮影した海の写真です。

 

【自己紹介】

幸せな人生に転換できた僕の物語

 

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「自分は愛されていたと思い出す物語」

~たまにしか会えない親子関係が伝えてくれる~

 

小学校の低学年くらいの男の子が

そこにはいました。

 

男の子が楽しみにしていることが

ひとつあったのです。

 

それは年に数回、大好きなお父さんと

会うことでした。

 

男の子の回りの子どもたちは、

毎日お父さんと会っているという

のがほとんどです。

 

でも、この男の子は年に数回しか

会えないのです。

 

男の子は、お父さんと会えることを

心から楽しみにしていました。

 

もう少しで世の中には、クリスマスが

やってきます。

 

世の中の子どもたちはサンタクロースが

やってくることを楽しみに待ちます。

 

でも、この男の子は大好きなお父さんと

会えることを楽しみにしているのです。

 

その想いは本当に純粋なものでした。

 

でも、なぜ男の子とお父さんは、

年に数回しか会えなくなったのでしょうか。

 

実は、男の子のお父さんとお母さんは、

男の子が小学校に入学するころに

お別れしていたのです。

 

そう、それは他ならぬ大人の事情と

言えるものでした。

 

お父さんには新しい家族がいるのです。

 

でも、男の子にとって、そんなことは

まったくもって関係がないのです。

 

男の子にとっては、ただただお父さんな

だけです。

 

たまたまお父さんのことが大好きに

なったのです。

 

だから、年に数回会えることを楽しみに

していました。

 

クリスマスが日に日に近づいてきます。

男の子の気持ちもワクワクしてきました。

 

お母さんに、

「もう少しでお父さんに会えるの楽しみだなあ」

 

お母さんに少し複雑な想いがあったことは、

本当のところでしたが、この想いが純粋で

あることもわかっていました。

 

だから、できる限り叶えてやりたいと

思っていたのです。

 

そうして、クリスマスの日がやってきました。

大好きなお父さんがやってきました。

 

あの日のように、お父さんは呼び鈴など

鳴らすことなく、自然とドアを開けて

男の子とお母さんが住む家に入ってきます。

 

お父さんは、やっぱりうれしそうでした。

「久しぶりだな」

 

顔に笑顔を浮かべるというより、自然と

うれしくなって笑ってしまう、というような

表情でお父さんは、久しぶりに会う

息子に声をかけました。

 

男の子は、「お父さんだ」「遊ぼう」

と言って、久しぶりの再会に心を

躍らせています。

 

お父さんの膝小僧のあたりに、

小さな腕を精一杯巻き付けて、

男の子は、歓びを表現していました。

 

「大きくなったな」

そう言って、お父さんは男の子の

頭を大きな手のひらで撫でてくれます。

 

男の子は、とてもうれしかったのです。

でも、男の子にはよく自分でもわかりませんでしたが、

涙がこぼれてきたのです。

 

歓びと同時に、何か別な感情が

男の子から湧きだしているかの

ようでした。

 

お父さんも少しビックリします。

お母さんも驚いていました。

 

この日はクリスマスです。

 

3人で夕食を自宅で食べることに

なっていました。

 

お母さんは、腕によりをかけて

クリスマスらしい「ごちそう」を

作ってくれています。

 

お父さんは、男の子が欲しがっていた

「おもちゃ」を買ってきてくれていました。

 

男の子は、3人で食卓を囲むと

「わー、ごちそうだ!うれしいな!」と

心からの歓びを表現しています。

 

そうして、お父さんから「おもちゃ」の

プレゼントを受け取ります。

 

「お父さん、ありがとう!僕、勉強もがんばるからね!」

 

そう言って、男の子は大きなプレゼントを

小さな身体で受け取ります。

 

その瞬間には、間違いなく疑うことなく

幸せな家族の形がそこにはありました。

 

そこには、みんなの愛があるのです。

 

でも、どうしても男の子は、うれしいだけの

はずなのに、涙が溢れてきてしまいます。

 

その姿を見ていた、お母さんもこらえきれずに

泣いてしまいました。

 

もう少しで、男の子はお父さんとお別れです。

それは、約束のクリスマスが終わるからです。

 

夜も遅くなってきました。

 

男の子は、寝ないように我慢して

いましたが、段々と瞼が重くなって

きます。

 

「そろそろ寝る時間よ」

 

お母さんは、男の子に、本当は

言いたくなかったけど、そう言って

眠るよう促しました。

 

「うんうん、まだ眠くないよ」

 

男の子は精一杯の強がりをみせます。

お父さんは、その姿をうれしいような

悲しいような、とても寂しいような、

後悔さえしてしまうような、そんな

とても複雑な感情を抱いているようです。

 

でも、小さな身体の男の子がそんなに

ずっと起きていることはできませんでした。

 

お母さんに手を引かれて、寝室へと

行くのです。

 

男の子は、みんなに聞こえるか聞こえないか

それくらいの声で言いました。

「お父さんと寝てみたいよ」

 

その言葉は、お母さんにも当のお父さんにも

聞こえてきています。

 

お母さんとお父さんは、久方ぶりに目を合わせます。

 

何かを察知したかのように、お母さんは

自分の息子の手をお父さんに引き継ぎました。

 

お父さんと男の子は、手をつないで

寝室に入っていきます。

 

男の子は、ベッドに入って、大好きな

お父さんに手を握ってもらっていました。

 

とても安心したのか、男の子はすぐに

夢の世界へと誘われていきます。

 

その寝顔は、とても安らかでしたし、

幸せを感じているようでした。

 

でも、お父さんは、しばらくすれば

今住んでいる新しい家族の家に

帰らなくてはいけません。

 

それが、大人同士の約束です。

 

お父さんは、男の子に握られている

手を離すことが、なかなかできませんでした。

 

お母さんに、「終電なくなるわよ」と

言われてお父さんの心は現実へと

引き戻されたのです。

 

明くる朝、男の子が起きると

そこには、お父さんの影は

ありませんでした。

 

また、お母さんとの2人での暮らしが

待っています。

 

男の子の枕元は少し、涙で

濡れているようでした。

 

「お父さん、また遊びにきてね」

 

男の子は、クリスマスを終えて、

お正月を越えて、冬休みを

終えてゆきました。

 

小学校で、「冬休みの思い出」という

テーマで作文を書くことになりました。

 

男の子は、やっぱりクリスマスに

お父さんと遊んだことを書くことに

したのです。

 

その内容は、そのテーマを出した

先生の心、読んだお母さんの心を

深く打つ内容でした。

 

「お父さんと会える日はとても楽しみです」

「お父さんと会える日は、いつもお母さんがごちそうを作ってくれます」

「お父さんと会える日は、お父さんが大きなプレゼントをくれます」

 

大人たちの様々な事情があるにせよ、

男の子は、確実に愛されていたのです。

 

歓びと同時に、何か悲しみのような

感情も抱いていたかもしれませんが、

男の子は愛されていました。

 

そのことは、男の子にしっかりと

刻まれているのです。

 

そう、大人の事情なんて男の子には

関係がないのです。

 

「お父さんと次に会えるのはいつなんだろうな」

 

男の子の無邪気な笑顔が、

大人たちを光で照らします。

 

【終わり】

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この物語を読んで何か一つでも

感じていただけたら嬉しく思います。

 

想いを乗せて書いています。

 

皆さまよろしくお願いいたします。