皆さま
僕たちは地球さんの恩恵を
受けながら生きています。
空気を吸って、水を飲んで、
土地も借りていたりします。
僕も長らくそれを当たり前の
ように生きてきましたが、
やっぱり僕たち人間はこれからも
地球さんと共存していく必要が
あるわけですね。
今回はそんな物語です。
本日もよろしくお願いします。
都会のど真ん中、新宿にこんなに
綺麗な公園ができていたので、
思わず写真を撮りました。
【自己紹介】
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「僕たちの住む地球さんの大切さがわかる物語」
~古き良き日本家屋が伝えてくれた~
住宅街に、見るからに立派な古き良き日本家屋が、
建っていました。
天井も高く、中には囲炉裏もある
今の日本には中々貴重な
建物です。
道ゆく人も、足を止めて、外から
見物する人も多く、人々の心に
なんともいえない懐かしさを
与えてくれていました。
それは、日本家屋が発する魅力の
副産物ともいえます。
でも、日本家屋も日本家屋で、
長く建っていることから、このあたりの
変化を目の当たりにしているのです。
多くの仲間たちは壊されていきました。
お隣同士、仲良く住民を守ってきた
記憶だってあります。
でも、もう残すはこのあたりでは
この日本家屋一軒だけでした。
建立当初から、日本家屋は
その見た目に恥じない、威風堂々と
建ってきましたが、いよいよ
一軒ぼっちとなり、その心の奥底は
ユラユラと揺れているのです。
日本家屋は、人類の発展、特に
経済的発展のために古いものが
壊され、新しいものが創られる
必要性に関しては、理解していました。
そのときが来ればそれはそのために、
自分が壊されることを受け入れようと、
そう考えていたのです。
でも、たまたまなのか、誰かの采配なのか、
ここまで建ち続けてきた日本家屋は、
本当にこのままただただ壊されるのを
待っていていいのか、疑問に感じています。
今、もしこの日本家屋が壊されたとしたら、
恐らく、人間は新たな近代的な建物が
建てられることになるのは、周囲を見れば
明らかでした。
日本家屋は周囲が寝静まった頃、じっくりと
考えることにします。
「このまま壊されて、新たな建物が建つことが、人間さんにとって、ひいては地球さんにとって良きことなのだろうか?」
そのひとつの疑問がどうしても、解消
されませんでした。
そこで、日本家屋は、自身が建つ土地さんに
相談することにしたのです。
「土地さん、僕が壊されて新しい建物が建つとしたら、どう思う?」
土地さんは、こんな時間でしたが、
起きているようでした。
「僕は地球さんの一部だから、良くわかるけどこの土地だって、地球さんから借りているだけだし、人間さんのものってわけじゃないと思う」
土地さんは続けます。
「だから、いい加減新しい建物が建つことには反対するよ」
「反対することで、きっと最終的には人間さんのためになるし、地球さんのためになると思う」
日本家屋は、土地さんがいきなり
熱くたくさんの言葉を話したので
ビックリします。
でも、その言葉が、日本家屋にとっての
答えともなりました。
日本家屋は土地さんと相談をして、
あることを決めたのです。
そう、それは日本家屋が自身で
朽ちていくことでした。
そして、土地さんもすぐに次の
建物が建てられないように、
ユルユルする土地へと変貌
していったのです。
日本家屋が朽ちていく姿は、
近所の人たちにとっても
大きな哀しみの種になりました。
数か月かけて、日本家屋は
目的の通り、朽ちていったのです。
その後、新たな建物を建てようと
多くの人がその土地を手に入れようと
しました。
でも、土地を調査して新たな建物は
建てられないことがわかります。
人間さんたちは、とても落胆していました。
でも、日本家屋があった土地は、放って
おいてもらえたのです。
人間さんが放っておいてくれたおかげで、
草木が生えて、花が咲き、生き物たちが
集まるようになりました。
日本家屋は無くなりましたが、近所の
人たちは、自然を求めて、その土地を
訪れるようになったのです。
日本家屋は朽ちて、土地と一緒に
なっていきながら、心静かに
想いを馳せました。
「これで良かったんだ」
「地球さんは誰のものでもないんだから」
今日もその土地は、多くの人たちの
心を自然に戻していったのです。
【終わり】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
世の中が今よりも幸せな場所になっていきますよう
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。