皆さま
実は人生には何かしらの
流れというものがあるように感じます。
もちろん、それに抵抗して生きるのも
ひとつの選択肢ですし、それによって
流れに逆らうと大変だったなあと実感
することもできるわけですね。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
山梨で撮った清流の写真です。
【自己紹介】
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「人生の流れに逆らわずに生きるってなんなのかわかる物語」
~川に流るる落ち葉が伝えてくれる~
一本の木から生えている葉が
一枚ありました。
その葉っぱはずいぶんと色を
変えて、そろそろ落ちようと
しています。
その下には川が流れており、
葉っぱはいよいよ落ちて、
あの川を流れることになるのかと、
恐怖でいっぱいでした。
必死に木の枝にくっついていようと
していた葉っぱでしたが、もう
しがみつく力は残っていません。
初冬の冷たくなった風にあおられて、
葉っぱから落ち葉に生まれ変わって
いきました。
落ち葉は、ユラユラとその身を
左右に揺らしながら、川の流れ
目がけて落ちてゆきます。
もう、こうなったら落ち葉も
落ちてゆくしかありません。
落ちながらも怖くて仕方ありません
でしたが、目をつぶるわけにも
いかず、たっぷりと恐怖感を
味わって、流るる川へと着地するのです。
川に着地した落ち葉は、必死につかまるものを
探しました。
最初に目についたのは木の枝でしたが、
どちらも流れているため、くっつくことは
容易ではありません。
落ち葉は身体をぐねらせたり、
流れを止めようと態勢を入れ替えますが、
その流れに逆らうことなど
できないのです。
そんなことをしていると、落ち葉は
とても疲れてしまいました。
「あー、このまま川に流されて私の葉っぱ人生は終わるのだ」
そんなことを叫んでみても、
流れは止まることもないし、
誰かが助けてくれるわけでも
ありません。
一気に流れが加速します。
落ち葉は水中に入ったり
水面に出てきたりを繰り返し、
とても苦しそうでした。
そうして、葉っぱはあまりの
恐怖感で、こう願いました。
「私をこの流れから出してください!」
それは、必死の願いでした。
落ち葉は、気を失っていたようです。
気が付くと、川の流れから飛び出し、
岩の上の水溜りのような、淀みのような
ところで、仰向けになっていました。
「あれ、ここはどこ?」
水の流れがないため、けっこう
汚れが溜まっていて、落ち葉は
息苦しさを感じています。
「君も流れから出たいって願ったの?」
聞いてきたのは、小枝でした。
小枝はさらに続けます。
「ここにいるのは、みんな川の流れから出たいって願ったものばっかりなんだ」
「え、こんなにいたの」
落ち葉は意識を取り戻しながら、
周囲を見回します。
小枝や、他の落ち葉、いろいろいました。
幸せそうには思えないですが、
それなりに楽しくも苦しくもやっているように、
この落ち葉からは見えました。
この生き方に落ち葉は、どうしても
違和感を感じたのです。
「私には、もっと違う生き方がある気がする」
落ち葉は、その水溜り、淀みで一夜を
明かしながら、考えました。
「本当にこのままでいいんだろうか?」
「きっと、ここで、落ち葉としての一生を終えるんだね」
「そんなの嫌だな・・・」
落ち葉は、泣きました。
川の流れから出たいと願ったことを
心から謝りました。
「私には、きっと他の生き方がありそうです」
「もう一度、川の流れに沿って生きたいです」
夜中の間、そうして、落ち葉は願いました。
朝方、大雨が降り始めたのです。
落ち葉たちがいる水溜り、淀みは
水位が増してきて、落ち葉は雨の
流れに押されて、そこから出てきました。
川の流れにまた戻ったのです。
川の流れでの生活は、スリリングだけど、
やっぱり落ち葉にとっては、楽しかったのです。
水は新鮮だし、いろいろな景色を見ることも
できました。
落ち葉は、感謝しました。
「川の流れに戻してくれてありがとうございます」
落ち葉は、枯れてはいますが、
再び活き活きとして、流れながら
生きていったのです。
【終わり】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
世の中が今よりも幸せな場所になっていきますよう
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。