皆さま
自分の個性って、自分で
気が付けるものもあれば、
目の前の人が教えてくれる
ものもあります。
それが、とっても大切な個性や
魅力になったりすることだって
あるのですね。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「目の前の人が教えてくれる物語」
~傷ついた竹の気づき~
大きな傷がついた竹が
生えていました。
そこは広々とした竹林が
広がっています。
傷ついた竹は、密かに
回りの奇麗に育った竹が
羨ましくて仕方がありませんでした。
いつかは、自分も収穫されて
大切に使われたいと思っています。
竹でできた家具になるのもいいし、
シシオドシも風流でいいなあと
考えたりもしていました。
でも、傷のついた竹はいくら
待っていても収穫されませんでした。
不思議なことに、傷ついた竹の
お隣の竹たちが見事に収穫
されていくのです。
そのたびに、傷ついた竹は
「どうせ、僕は傷がついているから収穫されないんだ」
「こんな竹に価値はないんだ」
「ほら、またお隣の奇麗な竹が収穫された」
そんな風に、自分で思い込みを
深めていってしまうのです。
思えば思うほど、目の前の竹が
美しく見えるし、価値があるように
見えます。
竹は、そんな現実を見たくないなあと
心底思っていました。
でも、見ないようにすればするほど、
近くの竹が切られて、美しく収穫
されていくのです。
そうなのです、この竹が、
「傷ついた自分に価値がない」と
思い込めば思い込むほど、
「そんなことないんだよ」と言って、
回りの傷がついていない竹たちが、
身体を張って教えてくれているのです。
もう、傷ついた竹の周囲には
ほとんどの竹が収穫されて
いなくなっていました。
傷ついた竹は、「もういいや」と
収穫されることを諦めています。
そんな風にしばらく傷ついた竹は、
過ごしていましたが、ある時から
その竹に動物たちが遊びにくるように
なったのです。
竹についた傷を使って、動物たちが
その竹に上って遊ぶようになりました。
傷ついた竹は、最初は、嫌だなあと
思っていましたが、次第にそんな風に
動物たちの楽しみになって、うれしく
なってきたのです。
しばらくすると、
「あー、こうして僕の竹は動物たちの役に立っているんだなあ」
「悪くはないかったんだな」
「傷はあるけど、それで僕という竹なんだな」
不思議と傷を受け入れるようになりました。
それから、ずいぶんと経ちました。
傷のついた竹は、当初の希望の通り、
美しく収穫されて、動物がいつでも
遊べる遊具に加工されていったのです。
傷のついた竹は、
「いろいろあったけど、なんだか幸せな一生を送れたなあ」
と静かに動物たちの歓びを
感じていました。
【終わり】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
世の中が今よりも幸せな場所になっていきますよう
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。