皆さま

 

写真は、海と山と青い空と白い雲が

一同に会したものです。

 

今回はその中でも「雲」が

出てくるお話しです。

 

詳しくは本文をお読みください。

 

本日もよろしくお願いします。

 

【自己紹介】

不安な人生から安心の人生に転換した僕の物語

 

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「生まれてきた大切さに気が付く物語」

~ある少女と変わり続ける雲~

 

ある少女が学校が終わって、

空を見ていました。

 

少女はこうして空にある雲を

見ることが好きだったのです。

 

少女にはいつも不思議な疑問が

ありました。

 

「人間はなぜ生まれてきたのだろう?」

 

少女は、まだこの世の中に生まれて

数年でしたが、なぜだかいつも

このことを考えていたのです。

 

そうして、あるときは、青空に

映える白い大きな雲に、あるときは

青空にポツンと漂うとても小さな雲に、

ときには、灰色をした雨雲にも

語りかけていました。

 

「お母さんは、私をいつも怒るし」

「先生は、ちゃんとしなさい!って叱るし」

「友達も急に意地悪をしてきたりするし」

「お父さんは忙しくて遊んでくれないし」

「優しいおじいちゃんとおばあちゃんにはたまにしか会えないし」

 

「なんで人間は生まれてくるの?」

 

少女は学校から帰ってくると、

空を見上げながら、雲に語りかけるのです。

 

優しい雲はいつだって、少女の

言葉を聞いてくれていました。

 

本当は雲も少女とお話ししたかったですが、

なかなかそれは叶いません。

 

それでも、少女は来る日も来る日も

雲に語りかけるのです。

 

この日は、学校で仲の良かった友達と

ケンカをしてしまいました。

 

「もう絶交する!」

 

そう言われて少女はとても

落ち込んでいたのです。

 

もちろん、この日も雲に聞いてみました。

「なんで急に友達と仲悪くならなくてはいけないの?」

「ずっと仲良くしていたいのに」

 

この日は今にも雨が降りそうな

曇りの日でした。

 

灰色になった雲が、少女に黙ったまま

語りかけてみます。

 

「僕たち雲も人間も変化していくものなんだよ」

「僕たち雲も真っ白に見えるときもあれば、

今日みたいに灰色をしているときもあるだろう?」

「人間風に言えば、良いときもあれば悪いときもあるってことさ」

 

その雲の語りは、落ち込んでいる少女に

聞こえてきました。

 

耳のあたりで、囁かれたような気がして

少女はあたりを見回します。

 

もちろん、誰もいません。

きっと、雲が答えてくれたんだと

少女は感じていました。

 

「そっかあ、良いときもあれば悪いときもある」

 

少女はそんなことを雲から教えて

もらったのです。

 

だから、少しずつですが、いろいろなことで

落ち込むことは減っていきました。

 

雲も良かったなあと、今日は白い雲になって

少女の成長を喜んでいます。

 

でも、やっぱり生きていればいろいろなことが

起きます。

 

少女の大好きだった、いつも優しかった

おじいちゃんが病気で死んでしまったのです。

 

少女は以前より少し大きくなっていました。

少女は大きく大きく泣いています。

 

おじいちゃんは少女の良き理解者でした。

 

そんな日に空を見上げる気分にもなりませんでしたが、

なぜだか、急に空が気になって、泣きながら

少女が空を見上げます。

 

そこには、青空に広がる大きな雲が

ひとつだけありました。

 

泣きながら少女は雲に話しかけます。

「大好きなおじいちゃんが死んじゃったよ」

「もう会えないんだね」

「生きているとこんなに悲しいことばかりなの」

「おじいちゃんと会いたいよ」

 

白い大きな雲は、少女の純粋な想いに

心打たれているようです。

 

だけど、少女にかけられる言葉が

見つかりませんでした。

 

だから、本当はあまりやりませんが、

ひとつのプレゼントを少女に送りました。

 

少女はおじいちゃんのことを思い出して、

涙が止まりません。

 

雲を見ながら泣いていましたが、

涙で雲も見えなくなっていました。

 

だから、少女は鞄からハンカチを

取り出して涙を拭いています。

 

再び、空を見上げると、一瞬でしたが、

白い雲が少女のおじいちゃんのような

形になっていました。

 

「あ、おじいちゃん」

 

声を変えたときには、雲は、いつもの

白い雲に戻っていたのです。

 

「雲さんありがとう」

 

少女は涙を流しながら、

そっと呟きました。

 

【終わり】

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この物語を読んで何か一つでも

感じていただけたら嬉しく思います。

世の中が今よりも幸せな場所になっていきますよう

想いを乗せて書いています。

 

皆さまよろしくお願いいたします。