皆さま

 

オウムの物語は今日は休憩して、

短編物語を書きたいと思います。

 

誰にだって生きている意味や価値が

必ずあります。

 

詳しくは本文をお読みください。

 

【自己紹介】

不安な人生から安心の人生に転換した僕の物語

 

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「誰しも生きる意味があるとなんとなく感じる物語」

~ある夫婦と旬のサンマ~

 

仕事帰りのサラリーマンが

スーパーの前に立っていました。

 

サラリーマンは、ここで妻の言葉を

思い出しています。

 

「たまにはサンマでも食べたいわ。でもなんだか高いわね」

「高いわね・・・高いわね・・・」

 

この夫婦は、結婚して25年ほどが経ちます。

子どもがいましたが、独立して家を出て

いったのです。

 

それから、二人の暮らしが始まったのですが、

どうもなんだかしっくりきませんでした。

 

会話らしい会話もあまりなくなっていたのです。

 

それで、夫にあたるサラリーマンは、

妻のなんとなく発した言葉をなぜだか

鮮明に覚えていて、こうしてスーパーの

前で立ち尽くしています。

 

そうして、何かを決心したようにスーパーの

中に入っていきました。

 

サラリーマンは魚売り場でサンマを

探します。

 

少しすると、サンマが2匹入ったコーナーを

見つけるのです。

 

上からサンマたちを覗くサラリーマン、

どれにしようか見ています。

 

すると、あるサンマ2匹が光っているように

見えるのです。

 

「あれ、光ったぞ」

 

そう、サラリーマンは思い、上の蛍光灯を

見ましたが、特にそれが反射している

わけでもなさそうでした。

 

「よし、この光っているサンマにしよう」

 

こんな風にこのサラリーマンが仕事帰りに

買い物をしていくことなど、とても珍しいのです。

 

家に帰って、妻にサンマを買ってきたことを

報告すると、とても驚いた様子でした。

 

妻が丁寧にサンマに塩を振りかけて、

下ごしらえをします。

 

「なんだか、新鮮そうなサンマね」

 

夫は、買う直前に光ったことは

言わないでおきました。

何言っているの?おかしくなったの?

なんて言われるのがオチだと思ったからです。

 

一方、この光ったサンマにもここまで

来るまでに、いろいろとありました。

 

サンマとして生まれて、海を泳いでいた

こともあります。

 

こんなサンマが他にいるのかどうか、

わかりませんが、このサンマ2匹は、

生まれてきたからには、美味しく

食べられたい、そんな生きる意味を

決めていたようなのです。

 

だから、海で泳いでいたときに、

人間に捕まったとき、苦しい気持ちも

ありましたが、自分たちの美味しさを

人間たちに伝えられると思っていました。

 

そうして、人間たちにすぐに見つけて

もらえるように、できるだけ光るように

していたのです。

 

夫婦の食卓には、両面がこんがりと

焼けたサンマの塩焼きが、一匹ずつ

並んでいました。

 

夫も妻もなんだかうれしそうでした。

 

妻は、サンマが食べたかったですし、

夫が買ってきてくれたことも喜んでいたのです。

 

夫は夫で、サンマももちろん食べたいですし、

妻が喜んでくれることが、楽しみでした。

 

サンマの塩焼きは、あっという間に夫婦に

食べられていったのです。

 

夫婦二人とも「美味しい、美味しい」と

言い合いながら食べていました。

 

サンマもサンマで食べられながら、

「あー、美味しく食べられて本当に幸せだなあ」と

思っていたのです。

 

そうして、夫婦がサンマの塩焼きを

食べ終わると、妻が夫の顔を見て

幸せそうに言いました。

 

「あなたと、毎日こんな風に美味しい食事を食べることができて、私は幸せよ」

夫は、照れ臭そうでしたが、

「僕もだよ」

 

その空間は、なんだかとっても

暖かい空気が流れているようでした。

 

【終わり】

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この物語を読んで何か一つでも

感じていただけたら嬉しく思います。

世の中が今よりも幸せな場所になっていきますよう

想いを乗せて書いています。

 

皆さまよろしくお願いいたします。