皆さま

 

気が付けば、あんなに

 

寝苦しかったのが

 

嘘のように

 

ひんやりするくらいで

 

眠りやすくなったものです。

 

では「道端で起きている幸せを綴る物語」の

第89作目を書いていきたいと思います。

 

「お金がないが口癖の美加子さんが道案内をしてもらった物語」

 

美加子さんは働く30歳代の独身の女性です。

 

美加子さんには口癖がありました。

 

それは「お金がない」です。

 

会社の同僚から飲み会に

 

誘われても

 

「お金がないから」と

 

言って美加子さんは

 

いつも断っていました。

 

友人からの食事会も

 

同様に断ってしまいます。

 

それだけ、誘いも断っていて

 

お金を使わないようにしている

 

美加子さんでしたが、

 

不思議なことに

 

いつもお金がありませんでした。

 

給料日になっても

 

「お金がない」と言っています。

 

せっかくお給料が

 

入ってきても

 

このお金はこの支払いにと

 

考えをめぐらせています。

 

「お金を楽しく使う」ことなど

 

まったくありません。

 

ある時、美加子さんは

 

同期入社の同僚と

 

お金の話をしました。

 

同僚は美加子さんとは

 

逆に様々な飲み会や

 

食事会に参加して

 

新しい洋服も買って

 

楽しんでいるようでした。

 

でも、美加子さんは

 

この同僚はお金が

 

なくなって困っているのでは?

 

と勝手に思っていました。

 

しかし、話しをして

 

びっくりしました。

 

同じくらいの給料を

 

もらっているはずなのに

 

普段お金を使っている

 

同僚はお金に困っている

 

様子がなかったのです。

 

「何か副業でもしているの?」と

 

美加子さんは同僚に

 

聞きましたが、

 

特にそんな様子もありません。

 

美加子さんはさすがに

 

週末はそのことについて

 

考えていました。

 

「私ってこんなに節約しているのにお金がないんだろう」

 

でも、どうしても答えなんて

 

出ませんでした。

 

そうして、美加子さんは

 

夕飯の買い物へ

 

出かけました。

 

美加子さんがいつものように

 

歩いていると

 

目の前から

 

60歳代くらいの女性が

 

歩いてきました。

 

不思議とその女性と

 

美加子さんは目が合いました。

 

「どこかで会ったことがあるような・・・」と

 

考えていました。

 

すると「こんにちは」と女性から

 

美加子さんは声をかけられます。

 

美加子さんは不思議とその女性と

 

気が合うのか

 

初対面にも関わらず

 

世間話をしました。

 

美加子さんの得意の

 

安いスーパーマーケットの

 

話しをしたりしています。

 

そうすると女性は

 

美加子さんを連れて

 

行きたい場所があると

 

言いました。

 

女性は美加子さんを

 

道案内し始めます。

 

しばらく歩くと

 

公園に着きました。

 

美加子さんと女性は

 

ベンチに座って

 

子どもたちが遊ぶ姿を

 

見ています。

 

すると女性は砂場のほうを

 

見るように美加子さんに

 

促しました。

 

砂場では子どもたちが

 

所狭しと遊んでいます。

 

そこへ、独りの少女が

 

やってきました。

 

しかし、もう遊べるほどの

 

砂がありませんでした。

 

哀しそうに砂場の隅で

 

少女は立っています。

 

すると、独りの少年が

 

バケツにたっぷりの

 

砂を持って、

 

まさに楽しげに

 

その少女に差し出しました。

 

「お砂使っていいよ」

 

少年はそう言いました。

 

少女は目を輝かせます。

 

「ありがとう」

 

「お砂はいくらでもあるからね」

 

「うれしい」

 

「お砂はみんなのものだから」

 

そうして、少年は

 

元の場所で砂遊びを

 

続けます。

 

美加子さんはその光景を見て

 

何でこの少年は

 

自分の砂をあげるんだろうと

 

疑問に感じています。

 

すると、しばらくすると

 

砂遊びを終えた

 

別の子どもが

 

「これ使って」と

 

言ってお砂を

 

くれました。

 

さらに、その少年は

 

バケツにたっぷりのお砂を

 

あげた少女から

 

「さっきはありがとう」と

 

言われて

 

お菓子をもらいました。

 

少年はお砂もたくさんになり

 

お菓子までもらえました。

 

女性はそこまで見終わると

 

美加子さんに言いました。

 

「少年は喜んで砂を少女にあげましたね」

 

「はい」

 

「少女は喜んでましたね」

 

「はい」

 

「少年はお砂はみんなのものだからと言いましたね」

 

「あ、はい。言ってました」

 

「すると少年のもとにはあげた以上の砂が還ってきましたね」

 

「みんながくれてました」

 

「さらにはお菓子までもらってましたね」

 

「はい。少年は裕福になりました」

 

「ところで、あなたならどうします?」

 

「砂は渡してないと思います。砂がなくなっちゃうので・・・」

 

そこまで言って、

 

美加子さんはハッとしました。

 

「私、お金でも同じことしてる・・・」

 

女性は笑顔を浮かべています。

 

「お金を喜んで使う。すると、誰かが喜ぶ・・・」

 

女性は小さくうなずいています。

 

美加子さんは今までの

 

お金の使い方を

 

見なおすことにしました。

 

美加子さんは妙に納得している

 

表情を浮かべています。

 

美加子さんは女性に

 

お礼を言いました。

 

「今日は安い惣菜だけじゃなく、自分が喜べる食材を買おうと思います」

 

そう言って、美加子さんと女性は別れました。

 

美加子さんは「お金がなくなる」と

 

思って支払いをしていましたが、

 

この日は「ありがとう」と

 

思いながら買い物をしました。

 

美加子さんは少しずつですが、

 

お金が入ってくるように

 

なりました。

 

何よりも毎日の買い物が

 

楽しくなりました。

 

気が付けば「お金がない」なんて

 

言わない自分がいることに

 

気が付きます。

 

美加子さんは公園に道案内してくれた

 

女性との出会いという偶然に

 

感謝しました。

 

【終わり】

 

現在、不自由や不安を感じる人生を送っている人が

このブログを読んで少しでも新たな一歩を踏み出してくれる

きっかけになったら嬉しく思っています。

世の中には親切な人は意外といます。

そんな願いを込めて書いています。

 

何か生きる上でのヒントになりましたら幸いです。

 

皆さまよろしくお願いいたします。