皆さま
朝晩の風がとても
心地よく感じますね。
外を少し歩くのには
気持ちの良い季節です。
では「道端で起きている幸せを綴る物語」の
第80作目を書いていきたいと思います。
「どうしても結婚したい瑞希さんが道案内をしてもらった物語①」
瑞希さんは働く30歳代の独身の女性です。
瑞希さんは学校を卒業してから
ずっと今の会社で仕事をしてきました。
長年仕事をしていますが、
そんなに自分に向いているとは
思っていません。
だから、結婚さえすれば
会社を辞めて
幸せになれると
瑞希さんは思っています。
「結婚さえすれば幸せになれる」
瑞希さんは30歳代になり、
周囲が結婚をしていくのを
見ていることもあって、
とても焦っていました。
週末になれば、
結婚相談所や出会いアプリなどで
結婚するために行動を
しています。
瑞希さんは行動さえすれば
きっと結婚できて幸せになれると
思い込んでいました。
瑞希さんは、しばらくの間
そのように行動をしてきましたが
結果は伴いませんでした。
そうして、いつしか
「結婚できない=自分には価値がない」
と、瑞希さんは思い込むように
なっていきます。
さらなる「結婚したい」という
気持ちを強めたものの
瑞希さんはどうしても
うまくいきませんでした。
そして、瑞希さんは
「結婚したい」という
想いが強まり過ぎたのか
出会った心ない男性に
お金をだまし取られて
しまいました。
瑞希さんはこの時に
とても落ち込みました。
休みが明けた月曜日、
どうしても会社に
行きたくないので
休むことにしました。
午前中は久しぶりに
ゆっくり自宅で過ごす
ことにしました。
瑞希さんは心身ともに
疲れていたのか
少し眠っているようでした。
夕方近くに目が覚めた
瑞希さんは夕飯の準備をするため
出かけて行きました。
瑞希さんはこの日々を
変えたいと心のどこかで
思っているようです。
せっかくなので、
今まで行ったことのない
スーパーマーケットへ
行ってみることにしました。
瑞希さんはどんどんと
歩いていきます。
しかし、一向にその
スーパーマーケットは
見えてきませんでした。
次第に不安になってきた
瑞希さんは信号待ちをしていた
瑞希さんより少し歳上くらいの
女性に声をかけました。
すると、その女性は
「そのスーパーは、この前移転してもうありませんよ」と
答えました。
瑞希さんは少し残念そうにしましたが、
その女性が他のスーパーマーケットを
紹介してくれることになりました。
「その途中の河原がとても綺麗なので」と
女性は言って、
瑞希さんを道案内したのです。
そうして、瑞希さんと女性は
河原に到着しました。
そこは女性が言うように
上から見ると草原が
広がっていて
とても綺麗です。
草原は同じ高さに
成長した芝生が
綺麗に生えそろっている
ように見えます。
そこへちょうど夕日が
重なって、
とても綺麗な景色です。
瑞希さんはこんなに
綺麗な場所が近くに
あったことに驚いています。
女性は瑞希さんに声をかけました。
「あなた少し哀しそうな顔をしているわね」
見抜かれた瑞希さんは驚きます。
「あ、はい。やっぱりわかりますか」
「ちょっと、下に降りましょう」
女性は瑞希さんを
草原のある所まで
連れて行きました。
草原に立ってみると、
上から見るよりずっと
芝生は大きく成長しています。
瑞希さんにもその芝生が
輝いているように見えます。
「この芝生を刈って、あなたの名前を書いてみるといいわ」
瑞希さんは女性が言っている意味が
理解できませんでした。
「大丈夫、この芝生はちゃんと生えてくるから」
どうやら普通の芝生ではないようです。
普通の芝生だったら勝手に刈っては
いけません。
女性に言われるがまま
瑞希さんは苗字と名前を
芝生を刈って表現しました。
すごく時間がかかりました。
夕日が随分と沈みかけています。
上から見ると、自分の名前を
瑞希さんは確認することが
できました。
自分の名前を遠くから見ると
瑞希さんは不思議な気持ちに
なりました。
「私は私なんだ」心の中で
呟きました。
女性は言います。
「あなた自身を大切にしてください」
良く見ると回りにはたくさんの
名前が書かれています。
「時々、ここに来て芝生の手入れをしてあげると良いですよ」
瑞希さんはわかったような
わからないような
複雑な表情を浮かべています。
「自分を大切にか」
瑞希さんは呟きます。
瑞希さんは女性に言われた通り、
自分の名前に刈られた
芝生の手入れをするように
しました。
少しずつですが、
自分の名前を大切に
扱うことで
自分を大切にしている
ように瑞希さんは
感じ始めました。
瑞希さんは女性との
出会いという偶然に
感謝しました。
【続く】
現在、不自由や不安を感じる人生を送っている人が
このブログを読んで少しでも新たな一歩を踏み出してくれる
きっかけになったら嬉しく思っています。
世の中には親切な人は意外といます。
そんな願いを込めて書いています。
何か生きる上でのヒントになりましたら幸いです。
皆さまよろしくお願いいたします。