皆さま

 

東京はまだまだ暑い日が

 

続きますね。

 

それでも朝晩は涼しくなってきたので

 

夕飯におでんを食べました。

 

おでんっておいしいですね。

 

では「道端で起きている幸せを綴る物語」の

第78作目を書いていきたいと思います。

 

「不安で動けない雪絵さんが道案内をした物語」

 

雪絵さんは40歳代の主婦です。

 

子どもたちも大きくなって、

 

心の中では自分の好きなことや

 

やりたいことを見つけて

 

やってみたいと

 

雪絵さんは思っていますが

 

ずっと漠然とした不安があり、

 

動けずにいます。

 

旦那さん、子どもたちは

 

会社や学校へ出かけて行きますが、

 

雪絵さんは最低限の家事は

 

こなすものの外にでかけるのが

 

不安でたまりません。

 

なので、買い物も旦那さんがいる

 

週末に1週間分まとめて

 

行います。

 

雪絵さんは最初はそれが

 

自分にとっては良いと

 

思っていましたが、

 

ある時、子どもが

 

近所の人にお母さん

 

全然みかけないけど

 

どうかされたの?と

 

聞かれて子どもがとても

 

困ったと聞きました。

 

それを聞いて

 

雪絵さんは子どもに

 

対して申し訳ない

 

気持ちになりました。

 

雪絵さんは外に出て

 

好きなことをやりたいと

 

思いましたが、心と身体が

 

ついていきません。

 

雪絵さんは誰もいなくなった

 

家の中で考えるよう

 

なりました。

 

「私はなんで不安なのだろう?」

 

しかし、答えはわかりませんでした。

 

「本当は外に出て好きなことしたいのに」

 

窓から見える青空に向かって

 

雪絵さんは心の中で

 

語りかけました。

 

すると、突然インターフォンが

 

鳴りました。

 

雪絵さんは普段、家に

 

独りの時は誰が来ても

 

ドアを開けることはありません。

 

しかし、この時は

 

なぜだか「ドアを開けても良い」と

 

思えました。

 

雪絵さんは自分を変えたいと

 

心で感じているようでした。

 

恐る恐るインターフォンで

 

受け答えをすると

 

そこには女性が立っていました。

 

年齢は雪絵さんのお母さんと

 

同じくらいの70歳代くらいに

 

見えます。

 

「すみません、突然に、集会所はどちらでしょうか?迷ってしまいまして」

 

「あ、集会所、ちょっとお待ちくださいね」

 

雪絵さんは普段外に出ていないので

 

すぐに集会所の場所は説明できません。

 

近隣の地図を持ち出して

 

雪絵さんは調べました。

 

「お待たせしました」

 

なんと雪絵さんは玄関のドアを開けました。

 

そうして、雪絵さんは

 

70歳代くらいの女性を

 

集会所へ道案内しました。

 

恐る恐る歩く雪絵さんのことを

 

女性は特に気に留めることも

 

ありませんでした。

 

雪絵さんはしっかりと

 

道案内できたのです。

 

女性がお礼を言うと

 

集会所の中では

 

書道が行われているようです。

 

実は雪絵さんは小さい頃

 

書道をしていました。

 

段を取るほどの腕前です。

 

しかし、主婦になり

 

不安になり書道は

 

もう数十年やっていません。

 

雪絵さんは書道がとても

 

気になり始めました。

 

雪絵さんの瞳をよーく

 

見ると少し輝いている

 

ようでした。

 

すると、女性は雪絵さんに

 

「見学して行かれませんか?」

 

「あ、いえ、そんな」

 

「まあまあ、そんな遠慮せずに」

 

「え、い、いいんですか?」

 

「もちろんですよ」

 

そして、雪絵さんは

 

書道教室を見学しました。

 

どうやらその女性は

 

師範のような役割だと

 

雪絵さんは気が付きます。

 

「皆さん、好きな文字を書いてください。今一番思っていることを躊躇せずに書いてください」

 

そして、師範の女性は雪絵さんにも

 

書くように促しました。

 

雪絵さんは緊張しながら

 

久しぶりに筆を手にしました。

 

雪絵さんは少し書道に対して

 

ウキウキしていましたが、

 

一番最初に浮かんだ言葉は

 

「不安」でした。

 

それが書道で書くのに

 

ふさわしいかどうかは

 

置いておいて、正直に

 

雪絵さんは書きました。

 

師範の女性が見て回っています。

 

師範の女性が

 

雪絵さんの所に

 

やってきました。

 

「不安」と書かれた書を見て、

 

師範の女性はニコッと

 

笑いました。

 

「これがあなたの心の中を支配しているのね」

 

そう言って、赤い文字で

 

「不安」を打ち消して

 

「安心」と師範の女性は

 

書きなおしました。

 

「安心・・・」雪絵さんは呟きました。

 

雪絵さんがしばらく

 

忘れていた感情であり、

 

言葉です。

 

師範の女性は続けます。

 

「あなたの文字はとっても良い。きっと書道が好きなんだと思います」

 

「ずっと書道をやっていました」

 

「これからは不安という文字ではなく、安心という文字を書き続けてみてください」

 

「安心・・・」

 

「あなたならきっとできます」

 

「安心・・・」

 

「毎日書いてみてください」

 

「はい、やってみます」

 

「安心書道」

 

雪絵さんの「不安」で包まれて

 

もやもやとした心の奥の方で

 

少しだけ輝きを見せました。

 

雪絵さんはそれを確かに

 

感じているようでした。

 

雪絵さんは書道の

 

師範女性にお礼を言いました。

 

「ここにまた来てもいいですか?」

 

気が付くと雪絵さんは

 

師範の女性にそう聞いていました。

 

帰り道に雪絵さんは

 

突然訪問してきてくれた

 

書道の師範の女性との

 

出会いという偶然に感謝しました。

 

【終わり】

 

意外と道端には良い人もいますし、幸せを

見つけることができるものなんですね。

 

現在、不自由や不安を感じる人生を送っている人が

このブログを読んで少しでも新たな一歩を踏み出してくれる

きっかけになったら嬉しく思っています。

世の中には親切な人は意外といます。

そんな願いを込めて書いています。

 

何か生きる上でのヒントになりましたら幸いです。

 

皆さまよろしくお願いいたします。