皆さま

 

とうとう10月になりましたね。

 

近所の保育園でも運動会の

 

練習をしている音が聞こえてきます。

 

では「道端で起きている幸せを綴る物語」の

第78作目を書いていきたいと思います。

 

「繊細で敏感な亜沙子さんが道案内をしてもらった物語」

 

亜沙子さんは40歳代の働くお母さんです。

 

亜沙子さんは人には言ったことのない

 

秘密がありました。

 

亜沙子さんはとっても

 

繊細で敏感なのです。

 

会社で働いていても

 

他の人が大きな声で

 

怒られていると

 

亜沙子さんはビクッと

 

しています。

 

きっと、そのことには

 

誰にも気が付いていません。

 

ひっそりとビクッとしているのです。

 

怒られている時間が

 

長ければ長いほど

 

まるで自分が怒られている

 

気分になってきてしまいます。

 

そんな時に、亜沙子さんは

 

自分がとっても嫌になります。

 

そんな繊細で敏感な自分に

 

疲れてきています。

 

家に帰っても

 

旦那さんが仕事から帰って

 

機嫌が悪ければ

 

亜沙子さんは自分が

 

何かしてしまったのかと

 

気になってしまって

 

仕方がありません。

 

子どもたちが遅くまで

 

帰ってこないと

 

亜沙子さんはとっても

 

ドキドキしてしまいます。

 

そんな中で家事をして育児をして

 

お仕事もしていて、繊細で敏感に

 

生活しているので亜沙子さんは

 

いつもとっても疲れていました。

 

そんなある日、亜沙子さんは

 

いつものように朝起きて

 

旦那さんと子どもたちを

 

送りだして、自分も

 

会社へ行くため準備を

 

していました。

 

しかし、準備をしていたら

 

亜沙子さんの身体は

 

どうしてもスムーズに

 

動かなくなりました。

 

突然、亜沙子さんは

 

膝をついてしまい

 

その場でうずくまったのです。

 

亜沙子さんは頭の中が

 

グルグルと何物かが

 

回っている感覚になりました。

 

意識はありますが、

 

思考が働きません。

 

しばらくそのままの姿で

 

亜沙子さんがうずくまっていると

 

少しだけ落ち着いてきました。

 

亜沙子さんには原因は

 

良くわかりません。

 

でも、このまま会社へ

 

行くことは難しいと

 

亜沙子さんは感じています。

 

亜沙子さんは会社を休む

 

ことにしました。

 

こんなことは亜沙子さんは

 

初めてのことです。

 

会社の上司に電話をしようと

 

しましたが、繊細で敏感な

 

亜沙子さんはドキドキ

 

しています。

 

「会社を休むなんて役立たずだと思われる」

 

「ずる休みしやがってと思われる」

 

「うそつくなと思われる」

 

亜沙子さんはそんなことを

 

考えています。

 

そう思われないように一度

 

落ち着いてふーっと深呼吸してから

 

電話をしました。

 

「子どもの具合が悪いので、看病のため会社を休ませてください」

 

亜沙子さんは抑揚をつけずに

 

それだけを上司に言いました。

 

そうして、亜沙子さんは

 

休むことにしたのです。

 

亜沙子さんはしばらくの間、

 

ソファの上で横になっています。

 

うとうととしてきて、亜沙子さんは

 

夢をみていました。

 

そこでは小さな頃の亜沙子さんが

 

何も気にせずに友達と

 

外で楽しく遊んでいました。

 

「あー、この頃は何も気にせず遊んでいたんだな」

 

夢の中で意識がモヤモヤしている中

 

亜沙子さんはそんなことを感じています。

 

夢の中で場面が変わっていきます。

 

どうやら、遊びながらも

 

亜沙子さんは時折

 

独りになって絵を描いている

 

ようでした。

 

その目は真剣で

 

姿も光り輝いている

 

ようにみえます。

 

すると、突然ドアが

 

強い力で開けられて

 

小さい亜沙子さんのお母さんらしき

 

人が入ってきて

 

お母さんが亜沙子さんを

 

強く叱りつけているようでした。

 

しばらくすると、お母さんが

 

部屋から出て行き、

 

しょぼんとした亜沙子さんが

 

自分の描いた絵を

 

そっと伏せています。

 

その亜沙子さんの姿は

 

とってもしょんぼりとしていて

 

哀しい雰囲気が漂っています。

 

そこで、亜沙子さんは目を覚ましました。

 

亜沙子さんはしばらくボーっと

 

しています。

 

夢のことを覚えているのか

 

わかりませんでしたが、

 

亜沙子さんは少し眠ったことで

 

元気になったようです。

 

家にも誰もいないので、

 

気兼ねすることなく

 

過ごそうかと思いましたが、

 

気分転換を兼ねて

 

外を散歩することにしました。

 

平日の昼間に近所を

 

歩いていたら亜沙子さんは

 

変に思われるかと

 

少し気にしましたが、

 

出かけました。

 

亜沙子さんが平日の昼間に

 

近所歩くなんて

 

とっても久しぶりでした。

 

近所の家のお庭には

 

植物が植わっていて

 

綺麗な花を咲かせています。

 

「こんなところに花が咲いていたんだ」

 

いつも忙しい亜沙子さんは

 

そんなことにも気が付いたようです。

 

しばらく花を見ていると

 

どこからともなく

 

女性が現れて亜沙子さんに

 

話しかけました。

 

「この花は椿ですよ」

 

亜沙子さんは驚きましたが、

 

女性の優しそうな表情も

 

あり、少し話しました。

 

すると、その女性が

 

時間があるならと言って

 

亜沙子さんを道案内しました。

 

亜沙子さんはついていくことにしました。

 

着いてみるとそこは

 

自然溢れる庭園のような

 

場所でした。

 

「こんな素敵な場所があるんですね」

 

亜沙子さんは驚きながら

 

女性にそう言いました。

 

亜沙子さんと女性は

 

景色の良い椅子に

 

座って話しています。

 

しばらくすると、女性は

 

大きな鞄から道具を

 

取り始めました。

 

なんと女性は絵を描き始めたのです。

 

亜沙子さんはとっても驚きました。

 

絵を描きながら女性は言います。

 

「私は昔から絵が好きでね、いっときは会社勤めもしたけど、やっぱり性に合わなくてね。会社員としては繊細過ぎたのよ。疲れちゃって」

 

「それで、絵を?」

 

「そうよ」

 

女性はとても楽しそうでした。

 

それを聞いた途端、

 

亜沙子さんはさっきみた

 

夢などを思い出し

 

色々なことがつながり

 

始めています。

 

少しの時間、亜沙子さんは

 

黙っていました。

 

「あ、私、絵が描きたい」

 

どうやら亜沙子さんは

 

やりたいことを思い出した

 

ようです。

 

どうして、自分が繊細で

 

敏感なのかも

 

なんだかしっくりきました。

 

絵を描くために必要だったと

 

気が付いたのです。

 

亜沙子さんは女性にお礼を

 

言いました。

 

そうして、亜沙子さんは

 

しばらくして家族と相談して

 

会社を辞めて絵を

 

描き始めました。

 

亜沙子さんは少しずつ

 

活き活きと生き始めたようです。

 

亜沙子さんは絵描きの女性との

 

出会いという偶然に

 

感謝しました。

 

【終わり】

 

意外と道端には良い人もいますし、幸せを

見つけることができるものなんですね。

 

現在、不自由や不安を感じる人生を送っている人が

このブログを読んで少しでも新たな一歩を踏み出してくれる

きっかけになったら嬉しく思っています。

世の中には親切な人は意外といます。

そんな願いを込めて書いています。

 

何か生きる上でのヒントになりましたら幸いです。

 

皆さまよろしくお願いいたします。