皆さま

 

湿気の多い日もあり、からっと秋のような日もありますね。

 

夏から秋へと変化をしている時期なのでしょう。

 

そんな変化を体感できるのは嬉しいものです。

 

では「道端で起きている幸せを綴る物語」の

第62作目を書いていきたいと思います。

 

「人一倍敏感な純さんが道案内をしてもらった物語」

 

純さんは40歳代の子育てをしながら働く女性です。

 

純さんは小さなころからとても敏感でした。

 

今までの人生、敏感がゆえに悩んだことの方が

 

純さんは圧倒的に多いです。

 

今でも職場に行って、誰かが誰かを怒っていると

 

まるで自分が怒られているかのような感覚になり、

 

とても気分が落ち込んだりしています。

 

他にも回りの同僚たちが笑いながら仕事をしていると、

 

なぜだか純さんは自分の欠点が見つかってしまい

 

笑われているのではないかと勘違いしていまいます。

 

仕事が終わって保育園に子どもを迎えに行っても、

 

先生が嫌な顔を見せていたり、他のママたちが

 

愚痴や文句などを言っているのが聞こえると

 

なぜだか純さん自身が嫌な気持ちになってしまったりします。

 

純さんには敏感がゆえに、驚くほどの感受性が備わっていました。

 

誰がどんな感情でいて、どんな感情をぶつけたりして・・・

 

そんな連続ドラマのようなことを日常的にずっと見ている感覚でした。

 

そんな日常に純さんはへとへとに疲れていました。

 

疲れ切った純さんはその日は仕事でしたが、

 

こんなに敏感な私は会社勤めは向いていないのではと

 

思い、思い切って休むことにしました。

 

純さんは会社にとても慎重に電話をしました。

 

「風邪なので休ませてください」と

 

できるだけ抑揚をつけずに言いました。

 

他の理由だと悟られないように。

 

純さんはその日、一日自由になったのです。

 

純さんは疲れると自然のある場所や神社に

 

行きたくなります。

 

この日も少し遠い場所ですが、

 

行ってみたかった神社に行くことにします。

 

神社に着くと純さんは久しぶりに嬉しそうな

 

表情を浮かべていました。

 

気持ちも少し落ち着いているようでした。

 

純さんはゆっくりと歩いて、参拝を済ませたようです。

 

神社から出ると、前から着物を着た女性がいました。

 

「こんにちは」

 

着物を着た女性は純さんに話しかけます。

 

純さんは少し驚きましたが、会話に応じます。

 

純さんは敏感がゆえにとても人見知りですが、

 

なぜだか初めて会ったはずの着物の女性に

 

自分のことを色々と話したくなりました。

 

着物の女性は近くに庭園があるからと言って、

 

純さんを誘いました。

 

普段なら純さんは警戒して人についていくことは

 

しませんが、この日はその限りではありませんでした。

 

着物の女性は純さんを庭園まで道案内したのです。

 

道すがら純さんは着物の女性に自分が敏感で困っていると

 

話したりしました。少し純さんは見知らぬ人に話せて

 

ホッとしているようです。

 

純さんは自分のことを話したかったのかもしれません。

 

そして、庭園に着くと木製の椅子に2人で腰掛けます。

 

しばらくするとお茶が出てきて2人ですすっています。

 

着物の女性は自分のことを純さんに話し始めました。

 

着物の女性も純さんと同じようにとても敏感な感性を

 

持っていたそうで、小さな頃はとても苦労したのだそうです。

 

「でも、大学生くらいでこれに出会って変わったの」と

 

着物の女性は言い終わり、

 

鞄から万年筆と原稿用紙を取り出しました。

 

純さんは「あ!」と思いました。

 

「小説家・・・」

 

「そうよ」

 

着物の女性は短くその一言だけ言うと純さんの目を見ました。

 

純さんは不思議な感覚に包まれていました。

 

純さんの中で何かがつながろうとしています。

 

そうして、純さんは思い出します。

 

「そういえば、なぜだか中学生くらいの時に祖父に

 

純は感受性が豊かだから小説でも書いてみたら良い

 

そのうち応募でもしてみたらどうだ?」って言われたことがあるな・・・

 

純さんは当時中学生で敏感すぎて中学校に行くのも辛い時期でした。

 

そんな時に祖父に言われた言葉は深く考えることはしませんでした。

 

「私が小説なんか書けるわけがないし、書きたいとも思わない」というのが、

 

当時の純さんの正直な気持ちでした。

 

しかし、なぜだか心のどこかには残っていてたまに思い出すことはあったのです。

 

そうして、今その言葉が何かにつながってきています。

 

純さんの中で何かが湧きあがってきます。

 

純さんがそれをよーく観察すると

 

「私は繊細な性格や感受性をうまく使って小説を書くのだ」

 

そんな気持ちが湧きあがってきているようでした。

 

純さんの中でその一瞬で今までの苦労などがなぜあったのか

 

腑に落ち始めているようです。

 

着物の女性は黙って純さんの様子を見守っていました。

 

純さんは小説を書いてみることにしました。

 

そして、純さんは着物の女性にお礼を言います。

 

着物の女性もとても嬉しそうでした。

 

その夜、純さんは会社勤めを辞めると

 

家族に相談をしたようです。

 

純さんの疲れ切った日々は終わりを

 

告げたようです。

 

純さんは神社で出会った小説家の

 

着物を着た女性との出会いや

 

祖父の一言を覚えていたという

 

様々な偶然に感謝しました。

 

【終わり】

 

皆さまいかがでしたでしょうか。

 

純さんは敏感であることで苦しんでいましたが、

 

その敏感さを利用して自分の進む道を

 

見つけたように感じます。

 

現在、不自由や不安を感じる人生を送っている人が

このブログを読んで少しでも新たな一歩を踏み出してくれる

きっかけになったら嬉しく思っています。

世の中には親切な人は意外といます。

そんな願いを込めて書いています。

 

何か生きる上でのヒントになりましたら幸いです。

 

皆さまよろしくお願いいたします。