皆さま
東京も少し曇り空が増えてきて、
気のせいかもしれませんが
少しだけ涼しくなった気がしますね。
では「道端で起きている幸せを綴る物語」の
第30作目を書いていきたいと思います。
「会社が辛く辛いカレーを食べたい光男さんが道案内をしてもらった物語」
光男さんは奥さんと子供二人で暮らす40歳代の会社員です。
光男さんは20代後半まで海外をバックパッカーとして各地を
移動しながら生活をしていました。
その後、結婚を機に日本で就職をして今に至ります。
光男さんは海外の様な自由なスタイルで働きたかったはずですが、
日本ではとても忙しい会社に就職をしたのです。
光男さんは深夜まで働くこともありましたが、
家族のために身体に鞭を打って頑張りました。
それなりに給料も上がってきましたが、
頑張るのをやめるとその給料も落ちてしまうと
光男さんは思い込んで頑張り続けてきています。
年齢も40歳代を迎え、光男さんの心身はこの激務に
耐えられなくなりつつありました。
月に何度か身体に不調が出るようになります。
蕁麻疹などは光男さんにとっては初めての体験でした。
光男さんの奥さんは子育てで忙しかったですが、
不調の続く光男さんを心配して、
「人間ドッグにでも行ってきたら」と言いました。
自分でも心配だった光男さんは奥さんの言葉を聞いて
有給休暇を取って人間ドッグに行くことにしました。
光男さんは人間ドッグに行くと、久しぶりにじっくりと
自分の身体を見ることになりました。
「こんなに肌が荒れているのか」
「こんなに痩せていたっけ」
「あれ、ずいぶん筋力も落ちたな」
自分の身体の衰えや変化に光男さんは驚きます。
それほど自分の身体を光男さんは放っておいたのです。
お医者さんにも「心身のメンテナンスをしないといけません」と
光男さんはお叱りを受けました。
人間ドッグの帰り道、なぜ自分の心身を放っておいて
あんなに会社で激務をを行っていたのか光男さんは
疑問に思っています。
「なぜ、あんなに自分の心身を犠牲にしてまで働いていたのだろう」
もちろん光男さんは家族のためと思って働いていたはずですが、
肝心の自分のためということをずっと何もしていませんでした。
街中を歩いていた光男さんでしたが、その場で立ち止まり
目を閉じています。
20代の頃旅したインドやネパールの風景が思い出されました。
あの頃の自分はとても活き活きとしています。
しばらくその思い出に光男さんは浸っていました。
そうして、ネパールで食べたカレーが美味しかったことを
思い出します。
「あー、もう一度ネパールのスパイスが効いた辛いカレーが食べたい」と
光男さんは思いながら、ゆっくりと目を開けました。
すると目の前には外国人の男性が立っています。
光男さんはなぜだかピンときました。
「あの人はネパール人だ」
光男さんはその男性に声をかけました。
「ネパールの辛いカレーが食べたい」と
光男さんは昔を思い出しながら伝えると、
そのネパール人らしき男性は笑顔で
任せておけと言わんばかりに光男さんをお店に
連れて行ってくれました。
光男さんはお礼を言って、念願の
ネパールのスパイスの効いた辛いカレーを食べることができます。
一口食べるごとに自分がネパールを旅していた頃を
光男さんは思い出しています。
それだけでも光男さんは少し元気になってきたようです。
そうして、これからは
「家族も大事だけど、まずは自分のために生きよう」と
光男さんは決意します。
光男さんの目は久しぶりに輝いているようでした。
光男さんは人間ドッグに行くように言った妻の発言や、
目の前にいたネパール人男性との出会いという
偶然に感謝しました。
それから光男さんは激務の会社は辞めてはいませんが、
残業は減ってきているそうです。
そうして、光男さんは週末にはネパールのカレーを自宅で
作って楽しむようになりました。
【終わり】
皆さまいかがでしたでしょうか。
光男さんは「家族のため」と思い
会社での激務を行っていました。
でも、もう少しで働けなくなるくらい
心身に不調が出始めていたのです。
それでも、奥さんのきっかけもあり
自分の活き活きとしていた時期のことを
思いだして、生き方を変えるという
方向転換をすることができたようです。
意外と道端には良い人もいますし、幸せを
見つけることができるものなんですね。
現在、不自由や不安を感じる人生を送っている人が
このブログを読んで少しでも新たな一歩を踏み出してくれる
きっかけになったら嬉しく思っています。
世の中には親切な人は意外といます。
そんな願いを込めて書いています。
何か生きる上でのヒントになりましたら幸いです。
皆さまよろしくお願いいたします。